安倍晋三首相と、ドナルド・トランプ米大統領は8月30日深夜、2日連続で日米電話首脳会談を行った。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を通過したことを受け、さらに圧力強化で連携することを確認した。
ミサイル発射継続を宣言した北朝鮮と、ツイッターで軍事力行使を示唆したトランプ氏。軍事専門家は、北朝鮮が今後、東京や大阪上空にミサイルを飛来(通過)させて威嚇する可能性を指摘した。北朝鮮の許し難い暴挙を、日米同盟で断固阻止しなければならない。
「米国は25年間、北朝鮮と対話し、金をゆすり取られてきた。対話は解決策ではない!」
トランプ氏が8月30日、ツイッターに投稿したメッセージだ。一時は正恩氏への期待を示していたトランプ氏だが、暴走をやめないことに怒りを爆発させた。最後の「Talking is not the answer!」は、軍事行動の可能性を示唆したといえる。
同日深夜には、安倍首相とトランプ氏の電話首脳会談が行われた。時間は約30分。日米の首脳が2日連続で電話会談するのは極めて異例だ。
安倍首相は会談後、「トランプ氏と最新の情勢について分析し、今後の対応を話し合った。現在の情勢の認識や今後の対応について話せないが、完全に一致した」と記者団に語った。両首脳は、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に、さらなる圧力が必要との認識で一致したという。
官邸周辺は「安倍−トランプ体制になってから、日米関係は極めて良好だ。複数のチャンネルで機密情報の共有が進んでいる。朝鮮人民軍の最新動向や、米軍の動きなどが伝えられているのだろう」と明かす。
トランプ氏の決意を示すように、世界最強の米軍は8月30日、その実力を北朝鮮に見せつけた。
米海軍のイージス駆逐艦に搭載した艦対空ミサイルSM6による迎撃実験をハワイ沖で実施し、中距離弾道ミサイルを模した標的の撃墜に成功したのだ。北朝鮮が米国領グアムに向けて弾道ミサイルを発射しても、米軍が簡単に迎撃すれば、正恩氏の権威は失墜する。
ただ、北朝鮮の強硬姿勢は変わらない。朝鮮中央通信は8月30日、正恩氏が今後も太平洋へのミサイル発射を続ける方針を明らかにした、と報じた。
北朝鮮は9月9日に建国記念日を迎える。9月11日は米中枢同時多発テロの日だ。こうした日程に合わせて、北朝鮮がさらなる軍事挑発に出る可能性が指摘されている。
韓国の情報機関、国家情報院は「6回目の核実験」の準備が完了したと国会に報告しているが、核実験は米国の怒りを極限まで高め、レッドラインを完全に越える危険がある。このため、8月26日、29日のようなミサイル発射を選択するとの分析もある。
日本上空を通過した8月29日の北朝鮮ミサイルは、北海道の上空を経て、襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下した。過去4回のミサイルも、東京や大阪、名古屋といった大都市の上空は通っていない。
大都市を避けるようなミサイルの進路には、何らかの意図があるのか。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「それぞれのルートには、意味があったということだ」といい、続けた。
「例えば、2009年と今回は、米国に向けて弾道ミサイルを撃つ場合、その方向にしか撃てない。弾道ミサイルは地球の自転に沿って撃つのが軍事的に正しく、より遠くまで飛ばすことができる。つまり、東京を避けて撃ったのではなく、北朝鮮にとって目的に沿う、合理的な航路を選択したということだ」
今後、北朝鮮が大都市上空にミサイルを飛来(通過)させることはあるのか。
潮氏は「今後の可能性として、『日本に対する威嚇、挑発』という目的のために、東京や大阪上空を飛ばすことも起こり得るだろう」という。
8月29日のミサイル発射の際には、テレビ全局が一斉に画面をJアラート(全国瞬時警報システム)に切り替え、日本列島は不安に包まれた。もし、大都市で同様のことが起きれば、パニックが起きかねない。日本はどう備えるべきか。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170901/soc1709010012-n1.html
(>>2以降に続く)
ミサイル発射継続を宣言した北朝鮮と、ツイッターで軍事力行使を示唆したトランプ氏。軍事専門家は、北朝鮮が今後、東京や大阪上空にミサイルを飛来(通過)させて威嚇する可能性を指摘した。北朝鮮の許し難い暴挙を、日米同盟で断固阻止しなければならない。
「米国は25年間、北朝鮮と対話し、金をゆすり取られてきた。対話は解決策ではない!」
トランプ氏が8月30日、ツイッターに投稿したメッセージだ。一時は正恩氏への期待を示していたトランプ氏だが、暴走をやめないことに怒りを爆発させた。最後の「Talking is not the answer!」は、軍事行動の可能性を示唆したといえる。
同日深夜には、安倍首相とトランプ氏の電話首脳会談が行われた。時間は約30分。日米の首脳が2日連続で電話会談するのは極めて異例だ。
安倍首相は会談後、「トランプ氏と最新の情勢について分析し、今後の対応を話し合った。現在の情勢の認識や今後の対応について話せないが、完全に一致した」と記者団に語った。両首脳は、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に、さらなる圧力が必要との認識で一致したという。
官邸周辺は「安倍−トランプ体制になってから、日米関係は極めて良好だ。複数のチャンネルで機密情報の共有が進んでいる。朝鮮人民軍の最新動向や、米軍の動きなどが伝えられているのだろう」と明かす。
トランプ氏の決意を示すように、世界最強の米軍は8月30日、その実力を北朝鮮に見せつけた。
米海軍のイージス駆逐艦に搭載した艦対空ミサイルSM6による迎撃実験をハワイ沖で実施し、中距離弾道ミサイルを模した標的の撃墜に成功したのだ。北朝鮮が米国領グアムに向けて弾道ミサイルを発射しても、米軍が簡単に迎撃すれば、正恩氏の権威は失墜する。
ただ、北朝鮮の強硬姿勢は変わらない。朝鮮中央通信は8月30日、正恩氏が今後も太平洋へのミサイル発射を続ける方針を明らかにした、と報じた。
北朝鮮は9月9日に建国記念日を迎える。9月11日は米中枢同時多発テロの日だ。こうした日程に合わせて、北朝鮮がさらなる軍事挑発に出る可能性が指摘されている。
韓国の情報機関、国家情報院は「6回目の核実験」の準備が完了したと国会に報告しているが、核実験は米国の怒りを極限まで高め、レッドラインを完全に越える危険がある。このため、8月26日、29日のようなミサイル発射を選択するとの分析もある。
日本上空を通過した8月29日の北朝鮮ミサイルは、北海道の上空を経て、襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下した。過去4回のミサイルも、東京や大阪、名古屋といった大都市の上空は通っていない。
大都市を避けるようなミサイルの進路には、何らかの意図があるのか。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「それぞれのルートには、意味があったということだ」といい、続けた。
「例えば、2009年と今回は、米国に向けて弾道ミサイルを撃つ場合、その方向にしか撃てない。弾道ミサイルは地球の自転に沿って撃つのが軍事的に正しく、より遠くまで飛ばすことができる。つまり、東京を避けて撃ったのではなく、北朝鮮にとって目的に沿う、合理的な航路を選択したということだ」
今後、北朝鮮が大都市上空にミサイルを飛来(通過)させることはあるのか。
潮氏は「今後の可能性として、『日本に対する威嚇、挑発』という目的のために、東京や大阪上空を飛ばすことも起こり得るだろう」という。
8月29日のミサイル発射の際には、テレビ全局が一斉に画面をJアラート(全国瞬時警報システム)に切り替え、日本列島は不安に包まれた。もし、大都市で同様のことが起きれば、パニックが起きかねない。日本はどう備えるべきか。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170901/soc1709010012-n1.html
(>>2以降に続く)