美食は貴族だけのもので、天に近い食材ほど高貴とされていた。一方で庶民はただ胃袋を満たすことも十分にできず、料理を楽しむという概念すらもなかった時代…。
自由と平等を求めたフランス革命の裏側では、食の自由と平等をもたらせた食の革命が起こっていた。武器や争いではなく、美食でもたらされた革命に心をぐっと掴まれる。

また、フランスの田舎の情景や色鮮やかな料理、静かなストーリーが美しい映像で彩られ思わずうっとりする。
美味しいものだけではなく、目にも美味しそうなものを作りたいという食への探究心がくすぐられ、丁寧な食の暮らしの欲求と憧れが高まって仕方がない。(そりゃ、仕事で疲れた時は到底人に見せれない女飯も作るけどね🤭笑) 非常にフランス映画的な映画ではあるが、食べることが好きな人、料理が好きな人、歴史好きな人は必見の作品。

本作で個人的に印象に残ったシーンがある。揺れ動く情勢の中で、自身も不遇な立場にあるにもかかわらず、パンを盗む子供たちを咎めず、平和を買うんだ、という主人公の心の持ち様に感銘を受けた。アメリカの大学でとった社会学の授業で、日常のあらゆることを社会学的な視点で見る大切さを教えてくれた今も心に残っている教授の言葉を思い出した。-Always think about the “why” and “how” behind the “what”. 改めてこの視点を大切に、本質的に優しく正しい行動ができる人でありたいと感じました。