好き。
この映画を観て気づいたけど、自分は誰かの半生モノが大好きだ。
『ガープの世界』『フォレストガンプ』『嫌われ松子の一生』そして、本作を撮った沖田修一監督の『横道世之介』…。
『さかなのこ』も、自分の好きな半生モノリストに加わりました。

幼少期のミー坊を演じた子の発語が超かわいい(もちろん演技もいい)。同年代の男子よりどこか辿々しい話し方で、周りに左右されない強さと、周りを巻き込んでいく吸引力をたしかに演じていた。タコのシーンは最初から最後まで笑った。

子供時代だけでも多幸感で充分に満たされたのに、高校時代からの楽しさよ。
不良たちと不思議なところで波長が合い(オクターブズレて同じ音になる的なw)、そこで築いた絆が大人になってから、ぽろぽろと繋がっていくのがいい。友だち俳優陣の豪華さと、演技のうまさ!

お母さんと二人になった経緯、桃が子連れで避難してくるまでの過程など、ほんとは複雑で大変なエピソードはサッとジャンプしつつ、でもちゃんと何かは感じさせる描き方をしていて、全体があくまでも軽やかに流れていくような演出もよかった。

とにかく半生モノは、登場人物たちがみんなそこで生きている感じがして、アイツ今どうしてるのかな?とかアイツの顔がそろそろ見たいぞって後から思わされるものだけど『さかなのこ』は見た直後から、すでにそんな風に思わされる映画でした。

のんは、男とか女とか関係なく、ミー坊でした。清々しくて真っ直ぐなミー坊。友だちになりたい!