日本動物福祉協会の調査員で獣医師の町屋奈さんによると、
オークションを間に挟むペットの流通形式は、日本特有のものだという。
つまり、ブリーダーとショップ、ブリーダーと消費者など、お互いに
「顔が見えない」仕組みになっているのだ。だから私たちは、
ショップで買った動物の母親や産まれた環境を知らないし、知ることができない。
日本の法律では、ブリーダーに対して、1頭の動物に繁殖させてよい回数や、
何歳から繁殖させてよいかなど、一切の制限が定められていない。いわば野放しの状態だ。
ショップは「在庫」を切らさないためにどんどん仕入れ、ブリーダーは、
特に人気の種にはどんどん産ませる。オークションがそれらの受け皿になり、「大量生産」がうまれる。
「大量生産があるということは当然、不良品≠竍売れ残り≠ェ出てくるわけです」と、
町屋さんは言う。血統の形質がうまくでていなかったり、病気を持っているような子は、
オークションで売れずにブリーダーのもとに戻ってくる。ショップでも、売れ残りは出る。
高齢になり繁殖能力を失った犬猫や、「売れない」犬猫たちは、ビジネス上は世話と
フード代がかかる「お荷物」だ。そこに「引き取り屋」が登場するのだという。