NHKハートネットTV 過去のテーマ 選ばれる命
https://www.nhk.or.jp/heart-net/new-voice/bbs/44/5.html

技術的観点からの補足
智一さん / 秋田県 / 50代 / 研究者・教員

反響編、正座して拝見しました。

いくつか書き込みを読んでの補足説明です。あれは、ダウン症をみつけるための検査ではないです。技術的に、まだトリソミー
しかわからないのです。

ちょうど今、技術革新によって、これまで考えられていた以上に、遺伝する疾病が多いことがわかりつつあります。これらは全て、
どちらかの親がもっている、なんらかの遺伝子の 変異が原因です。その胎児では なくて、親の遺伝子を調べることでも、疾病の
確率を計算することなら可能です。しかし、母親の血液から胎児のそれをどんぴしゃに調べるのは、 まだ難しい。

これに対し、トリソミーは、染色体の数が一つ多いことで起きます。これは遺伝ではなくて、よくある細胞のエラーで、女性の
年齢が高くなると、どんどん確率が上昇します。

母親は、自分が生まれた時に、すでに卵をもっています。卵はおばあちゃんのお腹の中でつくられてるんです。ただ、完成品には
なっていなくて、とても中途半端な状態で何年も 何年も待っています。卵は、受精 したあとに、駆け込みで完成するのです。
それまで、未完成な卵は、染色体を倍数もっています。これらを半分捨てて、半分だけ残さねばなりません。ここでどれかを一本
捨てそ こなうと、トリソミーになります。父親のエラーでもこうなります。

常染色体トリソミーのなかで、発生できて、わりと長い生存の可能性があるのは、もっとも小さい21番染色体だけです。そのほか
のは、もっと短命で、ふつうは生まれてこれま せん。 だから、まず21番から、調べる方法がつくられました(そして18,13
が続いた)。性染色体は遺伝子数も少ないから、さらに問題が小さくなります。XYYはY染色体を ひとつ余計 に持つ男性ですが、
気づかれないことも多いのでは(子どももできます)。

トリソミーも変異も、現在の技術では治療できません。しかし、産むかどうかの選択は、できるわけです。
投稿日時:2014年06月26日 23時08分