ただ、生長の家の特徴は、『生命の実相』を読めば、万病が治り、貧乏も逃げていくと宣伝したことにある。評論家の大宅壮一は、新聞に大々的に掲載された『生命の実相』の広告を見て、これほど素晴らしい誇大広告があっただろうかと皮肉っていた。

 もう一つ、生長の家の特徴は、戦前においては天皇への帰一を説いて天皇信仰を強調し、さらには、太平洋戦争が勃発すると、それを「聖戦」と呼び、英米との和解を断固退けるべきだと主張したことにある。

 中国を撃滅するために「念波」を送るよう呼びかけたところでは、まるでオカルトの世界である。

 戦後になると、谷口は、「日本は決して負けたのではない」と主張し、生長の家の教えには「本来戦い無し」ということばがあるとして、本来は平和主義であると主張した。

 まるで御都合主義で、節操がないとも言えるが、谷口の思い切った言い方は、多くの読者に共感をもって迎えられた。