電話を切ったモグラは、何か嫌な予感がして、直ぐに車のエンジンをかけ、家の周囲から遠ざかろうと思って車を発進させた
家の近くの私道から、大きな公道に出た直後の最初の信号に引っかかったモグラは車を停車させた
すると右側車線の、「真横」ではなく、一歩下がった斜め後ろに一台の黒い車が止まった

その時点ではさして何も意識していなかったモグラは、何気なく、本当に何気なく、その斜め後ろに止まった黒い車のほうを フッ と見た
すると、運転していた男ではなく、まず助手席に乗っていた男の顔が目に入った
その男の顔は・・  「角刈りでホームベースのようにエラが張っていて黒縁の眼鏡を掛けていた」 のである