0749名無氏物語
2018/08/30(木) 14:23:40.90ID:gAXIlldD言を以って人を取るは、偽の従い出づる所なり。昔者(中略)孔子少正卯を(于)魯に誅す。
聖賢刑罰大権を彰(あき)らかにする所以の者は、豈に好んで為すに已に甚だしからんや(哉)。他に無し。
深く其の言の不実にして、(而)偽学の以って世を欺くに足るをや(也)。楊雄の書、孔子を誦法す。
周秦自り以降、聖人を折衷し、(而)(于)道徳を純にするは、焉に過ぐる者有る莫し(也)。抑も其の尽く(于)偽を出だすを知るや(哉)。
王莽将に漢を簒(うば)はんとし、恭倹もて以って士に下る。雄の澹泊にして自ら守る。栄利其の中を動かすこと無きが若し。
其の初蓋し莽の心を悦ばせんと欲するも、久く及んで未だ用いられず。躁(さわ)げども禁ずる能はず。
乃ち奏を劇し新を美(ほ)むるの文を為して以って媚を献ず。(中略)其の独り柄用を得ざる者なり。
莽嘗て雄と同じく郎為り。莽の偽、雄之を知れり。雄の偽、莽もまた習ひて之を知るなり。(中略)相ひ率ゐて(而)偽を為す焉爾(のみ)(矣)。
已に当世の笑ふ所と為れり。
後の君子顧て或いは(于)雄を取ること有るは、徒に其言の(于)聖人を詭(いつ)はるをや(也)。夫れ安居して(而)周孔を誦習す。
事に迨(およ)んで変じ、猝(にはか)に難に臨んで(而)其の正を失はざるに至る者希(まれ)なり。
(中略)噫、吾能く必ず其の言の(于)偽に出でざらんなりや(邪)。