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「米国による痛み」を癒す

 もっとも、左派をはじめとするかなりの国民からは歓迎されるだろう。
韓国財閥の多くは、保守政権と癒着し、特恵を得て肥大化してきた。経営権はろくに
相続税も払わない子供や孫へと受け継がれてもいる、と韓国では見なされている。

 その子供や孫は、従業員への専横で、しばしば社会の非難を浴びる。韓進KALが
「国営化第1号」となったのは、オーナー一族による不祥事が相次いだからだ。

「財閥1人勝ち」となったのは、1997年のIMF危機(アジア通貨危機)がきっかけだ。
通貨危機に陥った韓国は、外貨を融通してもらう見返りにIMFと米国の要求を受け入れ、
新自由主義的な経済体制を導入した。

 従業員を簡単に解雇できるよう法律が整備され、街には失業者が溢れた。
景気が回復した後も企業は正規社員を増やさず、非正規労働者を採用するようになった。

 文在寅政権が「失業者を救う」と称し、
政府関連機関での雇用を増やしているのは「米国とIMFによる痛み」を癒す作業なのだ。
そもそもIMFに救済されるまで通貨危機が激化したのは、米国に見放されたからである
(デイリー新潮寄稿「韓国、輸出急減で通貨危機の足音 日米に見放されたらジ・エンド?」参照)。