「提督、いらっしゃいますか?」
「居るぞ、入れ。」
「失礼します。」
そう言って私は執務室に入る。今日の秘書艦は長門さんのはずだがすでに仕事を終えて部屋に帰ったのか姿は無かった。提督一人なら好都合である。
「…何か用かな?」
いつもと変わらない表情で提督は問いかけて来た。
ずるいと思う。昨晩あんな告白をしておいて至って平静なのだ。これではこれから思いを伝える私の方が緊張してしまう。

「…提督、昨日の話なんですが…」
「…」
「私は…」
「ストップ、少し心の準備をさせてくれ。」
前言撤回。ポーカーフェイスを装ってはいるが提督は提督で緊張しているらしい。現によく見ると緊張からか手が震えている。

「…よろしいですか?」
「…あぁ、こちらは大丈夫だ。」
少し深呼吸をして気持ちを落ち着けていた提督は覚悟を決めた様子で私の事を見てくる。言え、この人への思いをぶつけるんだ。と自身を鼓舞する。
「…提督、あれから少し自分でも考えました。私は本当にあなたの事が好きなのか、
今返事をして良いものなのか…そして、霞ちゃんに言われた言葉で決心がつきました…」