18日には吉林省琿春市の水産業者の苦境を伝え、22日には中朝間の水産物貿易港である遼寧省東港の住民が影響を受けているとのルポルタージュ記事を掲載した。
しかし、終末高高度防衛ミサイル（THAAD）配備に対する報復措置で韓国に大きな経済的被害を与えている中国が安保理制裁決議による自国の水産業者、漁村への被害をむしろ強調していることについては、「加害者が被害者を演じている」との批判がある。
同紙は22日付1面に東港の現地取材記事を掲載し、「中国政府による突然の北朝鮮産水産物輸入中断で地元住民は一夜にして雇用を失い、数億元の投資をふいにした」と伝えた。
中国政府は14日、安保理決議2371号による対北朝鮮制裁に従い、15日から北朝鮮産の石炭、鉄鉱石、鉛、水産物の輸入を中止すると発表した。
同紙は「制裁が猶予期間なしで実行され、豆満江（中国名・図們江）下流の琿春から鴨緑江下流の東港に至るまで国境地帯の水産物貿易が広範囲で打撃を受けている」と伝えた。
東港は人口約60万人の地方都市で、毎年夏の中国の禁漁期（6月1日−9月1日）に北朝鮮産水産物を輸入し、中国全土に出荷してきた。
グローバルタイムズは東港の水産物商の話として、「中国市場のワタリガニの約80％を占める北朝鮮産の価格は制裁以前は500グラム10〜30元（165〜494円）だったが、制裁で供給が止まったため、100元にまで高騰した」と伝えた。
水産物商は「今年9月まで制裁が実施されないと予想し、北朝鮮産水産物を多く確保しようと決済まで済ませたが、結果的に墓穴を掘った」と話した。
同紙は18日には北朝鮮の水産物を積み、琿春に入ろうとした中国のトラックが中国税関に止められ、豆満江の橋の上で立ち往生したと伝えた。同紙は「暑い天候で冷凍水産物が腐り、悪臭が漂った。それによる損害は中国企業が被った」と報じた。
グローバルタイムズは中国語版の環球時報と共に「THAAD報復不買運動」を最もあおってきたメディアだ。
今年2月には社説で「中国の消費者は市場の力で韓国に罰するべきだ。それを通じ、韓国に教訓を与える重要な勢力にならなければならない」と書いたほか、「中国はサムスンと現代自動車にとって最大市場だ。韓中対立が激化しており、彼らも近く苦境に直面するだろう」とも警告していた。
そうした扇動により、韓国経済は東港や琿春とは比べ物にならないほどの打撃を受けている。
THAAD配備用地を提供したことで中国の標的になったロッテグループは、今年末までに2兆ウォン以上の損失を見込んでいる。中国国内のロッテマート99店舗のうち87店舗は3月以降半年にわたり閉店状態だ。それでも中国人従業員の給与を支払い続けている。
現代・起亜自動車による今年1−7月の中国での販売台数は50万963台で、前年同期を43％下回った。現代自によると、中国に進出した部品業者145社の工場稼働率が50％を下回り、一部業者は倒産を懸念する状況にある。
7月までに韓国を訪れた中国人観光客は前年の半分以下の253万人だった。その影響でロッテ免税店の今年上半期の営業利益は前年同期比で97％減少し、ハンファギャラリア、ドゥタ免税店は営業損失を計上した。
北京の中朝関係専門家は、「北朝鮮の核による最大の被害国である韓国を一方的にいじめ、大きな被害を与えた中国が『対北朝鮮制裁による被害』をどうこう言うというのは話にならない」とした上で、「米国を意識し、『被害者の演技』をしている」と指摘した。
トランプ政権が中国の北朝鮮問題での役割を強調し、中国に圧力を加えていることから、「中国も損失に耐え、制裁を実行している」とのメッセージを送る狙いがあるとの見方だ。
東港、琿春の取材記事が全て海外宣伝メディアの英字紙に載ったこともそれを裏付ける。
北京＝李吉星（イ・ギルソン）特派員
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/23/2017082301047.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/23/2017082301047_2.html
