世界のゴミ処理・リサイクル事情に大きな影響を与えました。
新たな研究で、中国のプラスチックゴミ輸入停止に伴い、
世界中で発生する「何らかの方法で処理する必要があるプラスチックゴミ」が
どのくらいの量になるかが示されています。
The Chinese import ban and its impact on global plastic waste trade | Science Advances
http://advances.sciencemag.org/content/4/6/eaat0131
China’s plastic waste ban will leave 111 million tons of trash with nowhere to go - The Verge
https://www.theverge.com/2018/6/20/17484866/chinas-plastic-waste-import-ban-trash
China Just Handed the World a 111-Million-Ton Trash Problem - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-06-20/china-just-handed-the-world-a-111-million-ton-trash-problem
中国はこれまで、国内の製造業の原料を補うために外国から資源ゴミを購入しリサイクルしてきました。
データが初めて公開された1992年から中国が輸入してきたのは1億600万トンのプラスチック製バッグ、
ボトル、容器などで、その額は576億ドル(約6兆3300億円)にも上るとみられています。
しかし、2017年末から一部の資源ゴミの輸入を禁止しており、
輸入元の国々では新しいゴミ処理の方法を見つけ出す必要性に迫られています。
そんな中、ジョージア大学が発表した新たな研究では、
1988年から2016年までの中国のゴミ輸入のデータが解析された結果、
研究者は「2030年までに行き場をなくしたプラスチックゴミは1億1100万トンに上るだろう」と結論づけました。
これらのゴミはリサイクルや埋め立てなど、なんらかの方法で処理される必要があります。
なお、ジョージア大学は過去に行われた研究で、
2017年時点でのプラスチックゴミの累計は83億トンだと見積もっていますが、
このような数字を具体的にイメージするのは難しいもの。
Bloombergは「1億トンという数字は、テスラモデル3が62万1000台に相当し、
iPhone7億台でも1億トンの10分の1にしかならない」という例を出しています。
2016年に中国が世界各国から輸入したゴミの量は、以下の図のような感じ。
研究チームによると、世界中で発生したゴミの5分の4は埋め立て地といった陸地にとどまり、
10分の1は焼却されます。数百万トンのゴミは海へと流れ出て、リサイクルされるのは全体のほんの9%とのこと。
中国は、2016年のリサイクル量の半分以上を自国で引き受けていました。
産業が発達し、環境や公衆衛生への影響が明らかになってきたため、
中国は輸入する資源の内容を選択するという方向にありました。
2013年には食べ物・金属・汚染物質が未分類の場合は輸入しないということになり、輸入量が減少。
この傾向は2017年になるまで続き、
最終的にプラスチックゴミや未分類の紙類など24種類の廃棄物の輸入が停止されるとの発表に至ったわけです。
中国の措置は世界中に影響を与え、オーストラリアではリサイクル可能な廃棄物をリサイクする余裕がなくなり、
埋め立て地に回すようになり、
イギリスでは質の低いプラスチック素材が貯蔵施設に保管後焼却処理されていると伝えられています。
研究を行ったAmy L. Brooks氏はゴミを処理する方法を見つけ出す以前に、
最初からプラスチックのストローやカップのような使い捨てのアイテムを使わないなど
「ゴミを生み出さない方法」を取ることを推奨しています。
「これはあなたが取り得る方法のうち、もっとも容易なことです」
「『そんな事では変わらない』と人々は感じると思いますが、
何百万もの人々が行動を起こせば、確実に違いを生み出すことができます」とBrooks氏は語りました。
https://i.gzn.jp/img/2018/06/22/china-trash-problem/000.png
https://i.gzn.jp/img/2018/06/22/china-trash-problem/01_m.png
GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180622-china-trash-problem/