「安倍晋三首相が激怒した」 

  テレビ朝日の14日の昼のニュースに出演したジャーナリストの後藤謙次氏が伝えた首相官邸の雰囲気だ。韓国の日本産水産物輸入規制措置を認めた世界貿易機関(WTO)の最終判定に安倍首相が激怒したということだ。 

  後藤氏は「数多くの葛藤懸案を抱えている韓国との戦いで、それも国際機関という舞台で負けたため(安倍首相が)さらに深刻に受け止めている」と話した。後藤氏はまた「徴用問題に関連し、韓国を国際司法機構に提訴するという日本政府の戦略にも大きな影響を及ぼしかねない」とも付け加えた。 

  安倍首相の心は日本マスコミの報道に直ちに反映された。 

  「安倍首相が6月末の大阪G20(主要20カ国)首脳会議の時、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との個別の首脳会談を見送る方向で検討に入った」という報道が出た。記事には「手ぶらで来る文大統領と会う意味がない」という日本政府高位関係者の刺激的な発言も引用された。 

  「韓日関係=対決」という安倍首相の見解は、後藤氏の解説と日本メディアの報道でリアルに現れた。だが、安倍首相とは180度異なる方向から韓日関係を見ている人もいる。 

  「最初からギターとピアノのアンサンブルのために書かれた曲はありません。編曲で一緒に演奏する曲を作り、相手の音をよく聞きながらこちらの音と合わせていくのです。いつも自分の音よりも相手の音を聞きます。そうしてこそ優しく絶妙な音色を奏でることができるのです。韓日関係にもこのような配慮が必要です」 

  来月16日、日本のギタリスト村治佳織と東京で公演を行うピアニストの李京美(イ・ギョンミ)が先週中央日報のインタビューで話した言葉だ。 

  25年前、音楽フェスティバルが開かれたイタリアで偶然に出会った李京美と村治、2009年と2012年に3年間隔で2人を襲ったがんと共に向き合い闘い、お互いの人生から切っても切れない関係になった。 

  「もっと年を取る前に2人だけの思い出をもう一度作ろう」という趣旨から出発した今回の公演は、当初は11月に予定されていた。 

  だが「その誰も両国関係改善のために動けない最悪の状況で、音楽がその役割をしてほしい」という知人の誘いで日程を繰り上げた。 

  「政治家も自分より相手の音を注意深く聞いてほしい」という李京美の願いは、日本政府だけでなく韓国政府にも当てはめることができる。 

  「戦争主犯の息子である天皇が慰安婦おばあさんに謝罪するべき」という文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の発言をめぐり今年2月に両国外相が繰り広げた真実ゲームが代表的な事例だ。 

  当時、ドイツ・ミュンヘンで開かれた外相会談で河野太郎外相は朴泰俊(パク・テジュン)元首相など過去の知日派政治家を話題に取り上げた。日本を配慮した過去の政治家の発言に言及しながら、事実上、文議長の発言に対して不満を迂回的に表出したが、韓国側からは「文議長関連の言及はなかった」という反応が主にあり、韓日がそれぞれ違う言葉を繰り返した。結局、両国外相間の真実攻防に広まり、葛藤だけが大きくなった。 

  両国関係に出口が見えない状況で開かれる翌月2人の公演には両国の主要人物が多く参加するという。 

  不可能だと思ったギターとピアノのアンサンブルを完成させるために、お互いを配慮してきた2人の姿が両国の政治家にとっても新たなインスピレーションになればと願うばかりだ。 

  ソ・スンウク/東京特派員

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[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]2019年04月16日 09時23分