つづき

賛成か反対の2つしかないとき、そこに生まれるのは対立です。いま、SNSでも大きな問題になっている、激しい言葉でののしりあったり、中傷合戦のようなものが、はじまりやすくなるわけです。

しかし、vTaiwanでめざすのは『おおまかな合意』です。そう、以前、オードリーがアメリカのコンピュータ科学者デービッド・ダナ・クラークから学んだ、満足はできないかもしれないけれど、何ひとつ受け入れてもらえなかったという敗者もいない合意のことです。

ただ賛成か反対かだけではなく、意見や考えの「幅」を見せることで、「だったら、こうしよう」という、ちがいを乗りこえる提案を引き出すのです。

こうして、お酒をネットで売ることを許すかどうかについても、賛成派・反対派の両方が、次のような『おおまかな合意』に達しました。

 ・オンラインでお酒を売るサイトの数を制限する。
 ・支払いはクレジットカードのみ。
 ・商品の受け渡しはコンビニエンスストアとし、年齢を確認する。

こうすれば、子どもが不正にお酒を買うことは、まず不可能になります。

政府はこうした合意をもとに法案を作って、議会に提出しました。

ネット上でみんなの意見を出しあい、考えのちがいを目に見える形にすることで、4年近くももめていたことがらが、1か月たらずで解決してしまいました。