未だに理解の範疇を超えているが、自分は男の後輩から縋り付く様に強く抱き締められている。


裸の自分と濡れたシャツ1枚の牧、こんなの互いの体温や鼓動を感じるなと言う方が無理で、春田は初めて触れた牧の熱や肌や硬さに激しく戸惑っていた。


水音を失ったバスルームで春田は身を捩ってどうにか牧の腕の中から逃れようとする。


誰かとこんな事をするのも久々で、頭が酔っ払ったときの様にクラクラする。


牧から伝わる熱のせいで身体は火照って仕方が無い。


「…お願いです、このまま聞いて下さい…」


耳元でささやかれた牧の声は胸の奥底から絞り出したかの様で、余りにも切実に聞こえるそれに春田は息を飲んだ。