塾は非営利に強制転換 中国政府の「意見」でパニック: 日本経済新聞 2021年8月5日

長年の一人っ子政策の結果、中国は深刻な少子高齢化に直面している。
中国政府は5月末、それまで2人までとしてきた産児制限を3人に増やす方針を表明したが、
教育費用など育児コストが重いこともあり出生率上昇につながるかは疑問視されている。
この問題を解決する一助にしたいとう思いもあるだろう。

だが、それだけであれば営利企業を非営利組織に強制転換させるような、強引な政策は
必要ない。今回の意見にも盛り込まれている「習近平(シー・ジンピン)による新時代
の中国の特色ある社会主義思想」を義務教育レベルから浸透させることが、根本の狙いに
あると考えるべきだろう。意見では学習塾が海外在住の外国籍者を講師として雇用すること
を禁じた。外国で作成された教材も利用できず、国内の認可を得たものしか使えない。
前述のように外国資本が教育に入り込むことも徹底的に封じている。
<中略>
最大の問題は国の礎である教育から、多様な価値観を排除しようとしていることだ。
中国が経済発展できた理由は、強権国家でありながら改革開放政策によって自由な
経済活動を大胆に取り入れたことにあった。体制に批判的な政治的意見は封殺されるものの、
それ以外の経済活動においては柔軟でしたたかな中国国民の自由な発想と行動力が
発揮できた。画一的な価値観を国民に押しつければ、その中国の強みは失われ将来の
地盤沈下につながりかねない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC037F70T00C21A8000000/