書き込みを見て気になったんだけど

考古学者と発掘調査員というのは、似て非なる職業だよ。
そして大学に就職して研究してないかぎり、公務員も民間も発掘調査員な
わけで。

発掘調査員というのは、埋蔵文化財保護法により遺跡を調査しなければ
ならない開発業者と埋蔵文化財保護法の精神との橋渡し役なんだよ。

開発業者の方にも理解を求めて納得してもらわなくてはならないし、
時間や資金に限りがあるなかでどうやって埋蔵文化財保護法の精神を
活かすかを知識と知恵と度胸でもってやっていく力が、公務員民間
問わず求められているんだよ。

数年前、関東のある市で調査員を募集していたけど、条件は「経験者」
だったんだよ。大学を出たばっかの人間は採らないって。

発掘調査っていうのは、何千万何億という開発プロジェクトの端緒でも
あるんだよね。
一方で埋蔵文化財保護法は拘束力が弱く、これを有効にしていくのが現場の
重要な役割なわけで、それを可能にするのは開発側の「理解と協力」で、
それを引き出すのに必要な交渉力は発掘調査員に必須の力だ。
それがないと話し合いがしっちゃかめっちゃかになりしまいには議員やら
市長やらが出てきたりして(彼らを引っ張り出すのは開発側のケースが
多いけど)大変な騒ぎになったりするんだ。そうなったらもうアウトだね。

あと、発掘調査員が何より守らなければならないのは埋蔵文化財保護法だよ。
実際この法律がなければ今この瞬間にも失業するのが発掘調査員で、
埋蔵文化財保護法に足を向けて寝てはいけない。
埋蔵文化財保護法に軸足を置きつつ交渉していく、これが発掘調査員にとって
なによりも大切な能力なんだよ。