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たつき監督「100人の中の1人を狙う」

 ――監督アニメ「けものフレンズ」はほのぼのした動物キャラクターの繰り広げる物語が「子供向けか」と酷評されていたのに、ネットで支持が拡大。昨年一番のヒットアニメとなりました。

 「ニッチかもしれないけど自分と同じ感性の人たちが本当に欲しいものをつくろうと、自分自身が見たいものを小細工せずつくったら、そういう人たちが強烈に推してくれたんです。
けものフレンズは視聴者100人のうち1人に刺さる作品というイメージで、多分人気が出た後もこの確率は変わっていない。ただネットで話題が広がるにつれ分母が大きくなり、たくさんのニッチな方が見てくれた結果のヒットだと思います」

 ――人気のきっかけは大規模な広告やマーケティングではなく、作品を深読みする一部視聴者のネット上の書き込みという新しい展開でした。

 「ファンの方が楽しんだのは作品そのものだけではなかったと思います。ぼろぼろの評判からだんだん世間の目が変わりヒットに育っていく過程も含めて楽しめたのでしょう」

 ――最近の視聴者をどのように見ていますか。

 「今の日本のアニメファンは、いわば視聴エリートです。実績のない監督の評判の悪いアニメを褒めるなんて勇気の要ること。
3カ月間、謎のクソアニメとしてこき下ろし続けることもできるのに『俺は面白いと思う』と声を上げる人が一定数いた。匿名のネット空間が身近になり、日本人も建前だけでなく本音を言いやすくなっている面もあるでしょう」

 「アニメも皆同じメガヒットを受け身で視聴する時代ではなくなり、たくさんある中から自分で中身を判断してから見るようになっています。動画配信サービスの登場で視聴者の反応がダイレクトに見えるようになったことで、この流れは加速するでしょう」