「片隅」には良い点が2つ有る。一つはクラウド・ファウンディングで作ら
れたこと。二つ目は女優のんを生き返らせたことだ。のんの元プロは潰れて
しまえ。本名の「能年玲奈」を使ってどこがけしからんのだ。本名だぞ。

しかしこの映画には悪いところも二つ有る。一つはのんさんがすずさんの声
の吹き替えで、結婚前の娘らしい声と、結婚後の人妻らしい声とを表現でき
ていない。ずーっと最後まで娘の声の出し方で終っている。二つ目は風俗の
描き方で、出撃前の分かれにやってきた幼馴染の水兵に、すずのだんなが一
晩、すずを人身御供にしようとする場面が有る。当時の日本の風俗として、
絶対に有り得ないシチュエーションだ。亭主が我が嫁にそんなことをさせる
ことは無かったし、本人も絶対に応じないのが当たり前の時代だった。
スタッフが時代考証に失敗しているように見える。