・谷岡雅樹 ★★
古典を無視するのと無知とは違う。三池崇史は小津と聞いて魔法使いしか思い浮かばなかったが無知ではない。
北野武は無知でも畏怖がある。松本人志はどうか。ワンアイデアで押し通す学生の映画で、それをメジャーに
掛けられる環境には驚かされるものの、無駄に見える修業期間という「溜め」不足はこちらの浪漫も殺ぐ。馬の耳か。

・土屋好生 ★
カフカ的空間といおうか不条理劇そのままの設定でいささか気恥ずかしい。
ブラックコメディーの線を狙ったのだろうが、残念ながら素直に笑えないところに時代とのズレを感じる。
独自の世界を作り出そうとはしているものの、すべては独断と偏見。


・原田雅昭 ★
“分かる奴だけついて来い”という、観客を恣意的に選別する松本流の姿勢は今回も変わらない。
映画の場合、それは決して否定するものではないが、しかし、この作品を“分かる”人間が
存在するかどうかは別問題。屁理屈をこね回せばいくらでも言いようがあるが、それも虚しい。