ざっくりと脚本のレベルが低すぎて、感想が「ふーん」という感じで、この映画を観て何の感情も抱かないのである

羨ましくもなく、教訓もなく、試練もない

ふたりの愛を割いた障壁は「偶発的な病」であり、それはふたりで乗り越えるべき壁でもない

むしろ病から目覚めたあとの物語が必要であり、どのようにしてこの愛の再生が為されるのか、これが重要なのである

だが、この物語はそれを描かない
一番フォーカスを当てるべきポイントが見えていないと感じた

由加利は嘘を含めて愛を肯定した

でも、それは言うなれば自己完結でしかない

真実を知った桔平との間に現れるもの
それが本作における最大の「障壁」であり、愛を育むふたりが乗り越えるべき課題なのである


いずれにせよ、設定から紡ぐべき物語の核を見誤った結果、毒にも薬にもならない作品になった

劇中で起こるミステリーに驚きはなく、予定調和と常識の連続で、現実の方がもっと泥臭く厳しい

事実を基にした物語が次々と映画化されている理由を製作者は理解していない
この映画も事実から着想を得ていると言うが、ピンボケも甚だしい