松江哲明
ヒッチコック、ベルトルッチ、キム・ギドクが撮影時にしたことが問題になると
「もう観ない」という人がいるが、そういう時こそ「なぜ感動し刺激を受けたのか」と
考える機会だと思う。背景を知ってから否定するのは責任転換をしているようで僕は
したくない。映画は恐いことなのだ、作るのも観るのも。

映画の試写に行くと、宣伝の人から、ほぼ100%の確率で「カンヌ観てますよ」と言って
もらえる。と同時に「(日本映画界を殺っちゃって下さい)」という圧を感じる。皆さん、
いろいろ思うことありますよね。僕の勘違いかもしれないけど。

「お子さんは映画の道に?」とか聞かれるけど、ダメ、絶対!日本の自主映画は20年後
には趣味の世界になってるはず。生活にはならない。というかこの40年がラッキーだった。
動画の登場でもう終わり。息子には映画を通して、新しい糧を見つけて欲しい。

差別主義者はまずマイノリティを攻撃する。次に危険を煽る。「自分が言ってた通りになって
欲しい」という願望込みで。これは主張ではなくてパラノイアという病気だと思う。病んでいる
ことに自分自身が気づいていない上に正しいことと思い込んでいるのが厄介。防御方法は耳を
傾けないという以外にない。