ソフト予約してるけど待ちきれないので配信レンタルで見た
何度見ても傑作だなぁ
ラスト殺すのか殺さないのか論議だけど、やはり議論の余地なく「殺さない」ってラストに思える
この作品は感情で突っ走るミルドレッドとディクソンが、劇中で起きる事件と署長の手紙で自身の考えとやり方を見つめ直すって構成だから
自分が間違っていた、自分が憎んでたものを見直すという下りがどちらにもある
ディクソンはわかりやすいけど、ミルドレッドは「臭い動物園の女」と中傷してた元旦那の恋人に対して心の底から見方を180度変えてる
「嫌ってた相手」への気持ちを冷静になって考え直す役割を、あの子が果たしてるよね
一見どうでもよさそうな端役だけど実は物凄い重要ってタイプの配置
周囲はバカにしてて実際頭も良くなさそうだけど、自分の境遇や世間体に頓着がなくて臆面なく話するし
いつも前向きに事態を見てるってこの作品の中では珍しい登場人物
この作品は顔を突き合わせるたびに嫌味や敵対心や怒りが衝突するピリピリしたシーンばかりだけど
あの子だけそういうことに全く頓着が無い
ヘイズ一家が喧嘩してるのを和ませるのも彼女だし、本当なら父親の彼女とか息子は嫌いそうなもんなのに好感持ってるようだし

ラスト、ディクソンがミルドレッドに電話をかけるシーンは壁に飾られた家族の写真や子供の絵からシーンが始まるし
電話しながらディクソンは涙を流して母親の頭を撫でる
ミルドレッドも出発前に息子の寝顔を見て何か考えてる
周囲のことなんてお構いなしだった二人が家族のことや行動によって失うものを内省してるシーン
そして駄目押しの「あんまり気乗りしない」という台詞
これで殺すってのはないと思う