>>959
リリー(治)が祥太に見張りをさせて、パチンコ屋の駐車場の車の窓ガラスを砕いてバックを盗み、二人で走って逃げる時、祥太が聞く。
「僕を助けてくれた時にも、何かを盗もうとしてたの?」
祥太にしてみれば、リリーが祥太を助ける目的だけで窓ガラスを砕いたのか、何かを盗む目的で窓ガラスを砕いたら暑い車中に祥太がいたので、物を盗むついでに祥太を助けたのか、今まで気になっていたリリーの本心を聞きただした。
リリーは「違うよ、おまえを助けるためだよ」と走りながら答えたが、それが嘘である事が祥太にはわかった。
今まで、リリーの生き方に疑問を感じていて「父ちゃん」と呼べなかった祥太の心が、リリーから決定的に離れた瞬間だった。
この時、祥太はこの疑似家族を自分から終わらせよう、という考えが芽生えた。