大統領はなぜ、映画「ジョーカー」を気に入ったのか

2019年10月4日の日米同時公開前から、「現実の暴力を誘発する」と懸念され、話題になっていた「Joker(ジョーカー)」。
トランプ大統領はこの映画が気に入ったようだ。2019年11月16日夜、ホワイトハウスで上映会を実施。
家族や友人、一部のスタッフが参加した。
トーク番組司会者マーレイ・フランクリン役でこの映画に出演しているロバート・デ・ニーロは、上映会の実施を
知ると不満げだったという。「この政権はジョークだ。早く終わることを願うばかりさ」。
デ・ニーロはこれまで何度も公の場で、ときには放送禁止用語を使って「あいつはクソだ」、「アホだ」、「豚だ」、
「この国の恥だ」などとトランプ氏を激しく非難。躊躇することなく怒りをぶつけてきた。
トランプ氏がこの映画を気に入った理由は、「デ・ニーロがジョーカーに殺されるから」と揶揄する声も聞かれる。

ホワイトハウスの上映会について知った私の知人のジョナサンは、この映画を
観に行ったが、残忍すぎて途中で立ち去ろうかと思ったという。
ジョナサンは吐き捨てるように言う。「法や秩序とは無縁なトランプを支持するのは、アーサーのような男だ。
アーサーはトランプ自身でもあるから、この映画を気に入るのは当然だろう。」。

しかし、トランプ支持者でキリスト教福音派のジョアンは、まったく違う捉え方をしている。
「映画は残酷で直視できない場面も多かったけれど、あのシーンでイエス・キリストの復活を連想したの。そしてそれが、
トランプ氏と重なった。マスコミは彼を叩き、誰も勝利を信じなかったけれど、社会を転覆させた。社会から忘れ去られていた人
たちを救った。彼の言動には賛成できないこともあるけれど、支持者にとってヒーローであることに変わりはない

左派やマスコミは公開前からこの映画について、「白人至上主義で、白人男性の暴力や、トランプを生んだ白人
男性の怒りを正当化している」と批判してきた。
これに対し「ジョーカー」のトッド・フィリップス監督は、「そう感じるのは、左派がいつも何かに怒っているからだ」、
「自分たちの言い分を通そうとするとき、極左は極右ととてもよく似ていることがわかったよ」と反論している。