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新生ロシア1991-The Event-
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0002名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:42:02.67
原題 The Event
製作年 2015年
製作国 ベルギー・オランダ合作
配給 サニーフィルム
上映時間 70分
0003名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:42:14.98
スタッフ
監督
セルゲイ・ロズニツァ
製作
セルゲイ・ロズニツァ
編集
セルゲイ・ロズニツァ
ダニエリュス・コカナウスキス
0004名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:42:27.07
「ドンバス」「ミスター・ランズベルギス」のセルゲイ・ロズニツァ監督が、1991年8月にソ連のモスクワで起きた「ソ連8月クーデター」を題材に手がけたドキュメンタリー。

1991年8月19日、ゴルバチョフ政権によって進められていたペレストロイカに反対する保守派勢力が、ゴルバチョフ大統領を軟禁し軍事クーデターを宣言した。しかし、速報を伝えるはずの公共放送は「白鳥の湖」を流し、混乱したレニングラードの人々はモスクワの状況を知ろうと街に繰り出した。宮殿広場の集会に押し寄せる人の波はいつしか大群衆となり、人々はそこである出来事を目撃する。

8月クーデターの3日間、レニングラードに集まった民衆による民主主義の決起を訴える8万人のデモなど市街の様子を、全編アーカイブ映像で描き、ソ連崩壊へとつながる歴史的な出来事を記録した。
0005名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:43:09.16
セルゲイ・ロズニツァ監督『新生ロシア1991』日本版ポスターが解禁

第72回ベネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門で上映されたセルゲイ・ロズニツァ監督によるドキュメンタリー映画『新生ロシア1991』の日本版ポスタービジュアルが解禁されました。

1991年8月19日にモスクワで起きた軍事クーデター・通称「ソ連8月クーデター」の3日間に、民衆が決起しロシアの自由と変化を求める声が沸き起こったレニングラードを当時の記録映像で再構成するアーカイブ映画。

このクーデターをきっかけにペレストロイカでソ連邦の緩やかな改革を考えていたゴルバチョフは失脚し、連邦最大の共和国であるロシアのトップだった急進改革派のエリツィンが実権を握り、結果的に同年12月にソ連邦の崩壊へ繋がりました。
0006名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:43:22.54
本作品のモノクロ映像はレニングラードの8名のカメラマンが、混乱する市中に紛れ撮影したもの。エリツィンを支持し、市民にロシアの民主主義を訴えるアナトリー・サプチャーク・レニングラード市長を追いかけるカメラには、サプチャークの側近を務めていた若かりし頃のウラジーミル・プーチンの姿も映っています。プーチンは旧体制を解体したこの出来事の9年後にロシア連邦の大統領となり、絶対的な権力を手にして現在に至ります。ソ連崩壊に繋がった30年前のロシアの民主化の動きを映す本作は、現在のロシアを考える上でとても貴重かつタイムリーな公開となります。

セルゲイ・ロズニツァ監督は2022年5月に『ドンバス』(18年)、9月に『バビ・ヤール』(21年)、12月に『ミスター・ランズベルギス』(21年)の3作品が日本で連続公開され、注目を集めました。
0007名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:43:33.05
『新生ロシア1991』(英題:The Event)
監督/セルゲイ・ロズニツァ
2015年/70分/ベルギー=オランダ/ロシア語/4:3/日本語字幕:守谷愛

日本公開/2023年1月21日(土)よりシアター・イメージフォーラム公開
配給/サニーフィルム

©Atoms & Void
0008名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:43:58.79
1991年8月19日。ペレストロイカに反対する共産党保守派がゴルバチョフ大統領を軟禁し軍事クーデターを宣言した。テレビはニュース速報の代わりにチャイコフスキーの「白鳥の湖」を全土に流し、モスクワで起きた緊急事態にレニングラードは困惑した市民で溢れかえった。夜の街では男がギターを掻き鳴らしウラジーミル・ヴィソツキーの「新時代の歌」を歌い、ラジオからはヴィクトル・ツォイの「変化」が流れた。自由を叫んだ祖国のロックが鳴り響くレニングラードは解放区の様相を呈し、8万人が集まった宮殿広場でついに人々は共産党支配との決別を決意する—— 本作品はレニングラードの8名のカメラマンが混乱する市中に紛れ撮影した映像をセルゲイ・ロズニツァが手にし、3日間で終わった「ソ連8月クーデター」に揺れながらもロシアの自由のため立ち上がったレニングラードを再構成する。
0009名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:44:09.07
本作品の映像はアレクサンドル・ソクーロフの製作や後にロズニツァも所属し初期作品を制作した事で知られるレニングラード・ドキュメンタリー映画スタジオの8名のカメラマンがモノクロフィルムで撮影した映像である。ロズニツァはクーデターが起きた1991年8月、数学者から映画監督へ転進する準備をしながらキーウでこの出来事を見つめたという。25年の時を経てロズニツァは変化を遂げようとするレニングラードを懸命に記録した同窓の意を受け取り、それぞれの想いを込め1991年夏のレニングラードを映画にした。
0010名無シネマ@上映中垢版2022/12/26(月) 11:44:21.38
レニングラード市長のアナトリー・サプチャークはモスクワのホワイトハウスで市民と共に反クーデターを訴えるエリツィンを支持し、レニングラードの各所で開かれた集会やラジオ放送で市民にクーデターへの抵抗を訴える。そんな躍動するサプチャークを追っていたカメラに映り込んだ若かりしウラジーミル・プーチンの姿をロズニツァは逃さなかった—— 民主化に熱狂する大群衆の中、「苦しみ多きわが国民よ、騙されるな!」と書いたプラカードを掲げた女性がスクリーン越しの私たちに問いかける。
0012名無シネマ@上映中垢版2023/01/21(土) 08:47:18.03ID:TPGdug9G
人生ベスト、ロズニツァベスト。1991年8月19日、ソ連でクーデターが発生する。何も分からずに通りに出てきてラジオに群がる民衆たちの顔には様々な感情が入り乱れた複雑な表情が浮かんでいる。困惑、期待、失望、恐怖、興奮。今何が起こっているのか、そしてこれから何が起こるのか。続いて唐突に流れてくるのはチャイコフスキー「白鳥の湖」だが、ロズニツァが勝手に付けたわけではなく、占領されたラジオ局が実際にニュースの合間に流していたらしい。本作品でも場面転換として"本来の"意味を皮肉って使われているのも印象的だ。監督通算18本目にあたる本作品は『Landscape』『Revue』に続くファウンドフッテージ再構築映画の三本目であり、国を根本的に変えてしまう"イベント"に図らずも巻き込まれその一分になっていく一般市民を捉えたという点で前年に製作された『Maidan』と姉妹編のような関係を持っている。大きな違いはロズニツァがカメラを持っていないこと、モノクロであることしかない。歴史は間違いなく繰り返しているのだ。

1970年代後半になってブレジネフの経済政策は破綻し始め、中国やアメリカとの関係も悪化していた。1985年に書記長になったゴルバチョフはチェルノブイリ事故への対応や積極的な過去政策への批判によって改革派と保守派の対立を招き、それはエリツィン率いる急進改革派との和解やマルタ会談による軍縮に起因する軍需産業の縮小によって鮮明化していった。また、バルト三国への軍事介入が避難され、国民からの支持も失いつつあった。そんな中、保守派の副大統領を頂点とする国家非常事態委員会が発足し、主権共和国に強力な自治権を認める新条約締結を前に、軍部と協力して政権奪取を試みることになる。それが俗に言う"ソ連8月クーデター"の真相である。
0013名無シネマ@上映中垢版2023/01/21(土) 08:47:29.42ID:TPGdug9G
当時多くの人々はエリツィンを支持していたようで、軍部が政権奪取を宣言してもそれに対抗するようなビラが街角で読み上げられ、有名無名関わらず多くの人間が独裁に反発する演説を行っている。バリケードを築いて道を封鎖する者も現れるし、いつまで続くか分からないその封鎖に対して不快感を表す者もいる。当然ながら情報共有手段が噂くらいしかないので、少しでも情報を得ようと会話している人に群がったり、新聞社の印刷所前に群がって号外を奪い取ったりしながら最新情報/未知なる情報を得ようと躍起になる。戦車が10台も出動したらしいぞ、クリミアにいるはずのゴルバチョフの安否はどうなっているのか、エリツィンはクレムリンにいるらしいぞ、テレビでボリショイ・バレエしか流してないのはなぜだ。真偽すら不明の情報が錯綜し、取り敢えず最新の情報が得られるだろうと広場は人で埋め尽くされ、そこで演説を始める者まで現れる。そしてカメラは一人の登場人物のように熱に浮かされたかのようなレニングラードの街を彷徨い続け、その熱気と興奮は時代も国も越えて我々にまで伝染する。

本作品の凄いところは、"ドキュメンタリー"としてありがちな実際に戦車と激突したシーンや軍人など体制側の人間を一切見せないところだろう。実際には一連のクーデターで何名かの死者は出ているのだが、本作品では暴力的な衝突は一切描かず、あくまで一般市民の小さな力が集まることで国を根本的に変えたことを提示し続ける。そして、カメラは名前もない一般市民たちに寄り添うことで、まるで自分もその場にいるかのような錯覚すら与えていく。特に人で埋め尽くされた広場のシーンの高揚感は圧巻で、戦没者追悼の黙祷ではこの人数とは思えない速さで静まり返り、全員がピースサインを頭の上に掲げる。

同時に、ソ連の崩壊は新たな地獄の幕開けでもあった。崩壊によってもたらされた格差拡大や経済の停滞によって犯罪が横行したという話は以前『ロシアン・ブラザー』でも書いたが、実際にああいうことが起こっていたのだ。そして今ではスターリン時代を懐古する歴史修正が進み始めている。ヴォルゴグラードでは年の数日間をスターリングラードという名称に戻すということまで決まったのだ。
0014名無シネマ@上映中垢版2023/01/21(土) 08:47:41.94ID:TPGdug9G
広場には前年に亡くなったヴィクトル・ツォイ率いるキノーの"Khochu peremen!" ("I Want Change!")が大音量で鳴り響いていた。セルゲイ・ソロヴィヨフ『Assa』を思い出してしまって目頭が熱くなった。ロズニツァの意図もその歌詞の通りだろう。広場を所狭しと人が埋め尽くし、地鳴りのように歓声が響き渡る。私はこの光景が忘れられない。


人々が徐々に集まって運動が大きくなっていく様子をどこかで観た覚えがあったのだが、1989年のルーマニア革命やビロード革命の映像だった。反チャウシェスク集会に集まったルーマニア人の映像を地元のテレビ局のカメラマンや家族用にカメラを持っていたお父さんなどが故国を変えるであろうイベントの記録を残そうとしていたのをNHKで観た気がする。ビロード革命はヴァーツラフ・ハヴェルの勝利宣言を聴くためにヴァーツラフ通り(あの引くほど広い大通り)が人で埋め尽くされていたのもどこかで観た気がする。
0015名無シネマ@上映中垢版2023/01/22(日) 06:53:30.00ID:bFeBIOUU
良かったとこ1 黙祷のシーン
とにかく人の集まり方が尋常じゃない。CGかと思いぐらい広場を埋め尽くす人たちによる黙祷は壮観だし、これがフィクションではないというのがアツい。

良かったとこ2 巧みな構成
三日間の撮影を時系列に並べているものの、そこにちゃんとストーリーがあるのが良かった。初日は、断片的な情報しか分からなかった当時の民衆と同様に断片的なシーンが続き、その後広場に集まる人々のシーンが増えていき、最後は国旗の変更という革命のような象徴的なシーンに繋がる。これがハッピーエンドではないことは、ラストの字幕を見ても明らか。
0016名無シネマ@上映中垢版2023/01/22(日) 18:07:25.57ID:33R25fI3
ロシア国民の多くが共産主義を嫌っていたようにも見える。軍事政権の全体主義を恐れていたと言うことなのだろうか?
前提知識が無さすぎてよくわからない。
最後、旧ソ連の体制の犯罪告発のための証拠保全の現場映像に見えた。
?が湧きすぎて自分の頭がえらいことになっている。
0017名無シネマ@上映中垢版2023/01/22(日) 22:31:00.85ID:8GHFbwmb
広場を隙間なく埋め尽くす群衆(8万人!)、熱狂する声が一瞬で静まり返り、たくさんの腕が上がる。 

多くの顔が映し出される中、最も印象に残ったのは一瞬の若きプーチン。この一瞬があるだけで、ずっと不穏な余韻が残る。  

「苦しみ多きわが国民よ、騙されるな!」 
新生して、何が変わったというのか?
0018名無シネマ@上映中垢版2023/01/23(月) 02:45:38.83ID:Pnkl+Eii
昨年から引き続き日本で続々と公開されているセルゲイ・ロズニツァの作品。4時間近くあった『ミスター・ランズベルギス』に対してこちらは70分程度。ソ連からロシアに転換する瞬間をともにし、一斉に黙祷を捧げる群衆の画に圧倒される。
0019名無シネマ@上映中垢版2023/01/25(水) 08:47:22.04ID:zr/LariJ
初ロズニツァ。ドキュメンタリーを普段ほとんど観ないのだけど、実際の映像であることが先行してしまって、やっぱり映画としての向き合い方がよくわからない。私は勉強的な意味でしか観られない。なので特に感想もない。ていうか1991年って全然最近なんだよな…。
0020名無シネマ@上映中垢版2023/01/25(水) 08:47:39.20ID:zr/LariJ
あとなんでモノクロにするのかを知りたい。
0021名無シネマ@上映中垢版2023/01/27(金) 21:32:41.02ID:7FMDSKbA
話題のロズニツァ、なんだかんだでこの作品が初となってしまう。結論から言うとさっぱりわからなかった。後半は白鳥の湖が流れるたびに終わったかな?と思ってしまった。

内容に問題があるとは思わない。自分がノンポリなだけです。例えば白鳥の湖でロシアは浮かばずバレエしか思いつかない人もいるのに対して、ここで使われる意図というのが政治的或いは国民的にわかるところがある人もいるということ、つまりはそういうことだ。それは、ペレストロイカやソ連解体がもたらした文化的な恩恵は映画に限らず少なからぬものをわれわれも受けている。しかしモノクロのアーカイブ映像でワイズマンのように説明を排斥されたらわかるものとわからないもので感想は真っ二つになるはず。モノクロなども起こってることがわかるから活かされる。

なんもわからないで観ていても行き過ぎる人や反動もあるだろうなあとかそもそも思うことであって活写されたそれ自体から何も得られない。最後のほうの大群衆を見ても単に人が多いなあとしか思えなかったのです。
0022名無シネマ@上映中垢版2023/01/28(土) 00:23:33.28ID:ET6dfnkt
この映画は、帝政ロシアからソビエト連邦の成立、そして崩壊の歴史を知らなければ、ちんぷんかんぷんの作品である。当時の広場に集まった人々は何に怒っていて、実際に政権の中枢では何が起きていたのか。

 2022年2月のロシアのウラジミール・プーチン政権によるウクライナ侵攻から間もなく一年が経つ。ミハイル・ゴルバチョフによるソ連の改革と解体、ボリス・エリツィンの台頭からプーチンの独裁に至る現代史には、ロシア人の精神性が色濃く現われていると思う。

 本作品はゴルバチョフのペレストロイカ、グラスノスチという政治改革に反対する共産主義の保守派が1991年8月にゴルバチョフを軟禁したクーデター事件を扱っている。
 ソ連は同年1月にバルト三国に軍事侵攻している。ソ連国民はこれに反対して、ゴルバチョフの退陣を求めた。それに乗じてペレストロイカに反対する保守派が政権を掌握しようとした訳だ。同年6月にロシア大統領に選出されたエリツィンがクーデターに反対してゴルバチョフを救出した。一躍英雄となって、ソ連崩壊後のロシアの政治をリードする形になった。ゴルバチョフはエリツィンの独裁的なやり方に懸念を覚えていたフシがあったが、時代の流れには逆らえず、共産党を解党し、大統領を辞任してソ連を実質的に解体した。

 本作品で集会に参加した人々が訴えるのは、生活を向上させてほしいという、いわゆる庶民の一般的な願いと、共産主義からの解放だ。「偉大なる同志」であるスターリンによる抑圧的な政治はスターリンの死後も続いていて、ソ連国民を苦しめてきた。これを機に、70年余の受難の時代が漸く終わるのだ。

 
0023名無シネマ@上映中垢版2023/01/28(土) 00:23:38.23ID:ET6dfnkt
一方で人々の声の中に混じるのは、ロシアという言葉である。そこには「祖国」という響きがある。ロシア民謡に根深く息づいているロシア人の精神性だ。それは日本人の精神性に通じるところがある。組織や共同体を個人よりも優先する精神性だ。自己犠牲を美とし、善とするから、お上の言うことには逆らわない。ロシア人が長い間の圧政に耐えてきたのは、その精神性によるものだと思う。

 本作品は、祖国を愛して礼賛する一方で、個人の生活の向上も同時に願う人々を描く。ある意味で矛盾している心のありようだが、この矛盾がそのままロシアという国の矛盾になっている。
 日本も同じで、生活が楽になったり、困っている人が救われる社会を望んでいるにもかかわらず、選挙では国家主義の勇ましい妄言を並べ立てる政治家に投票する。
 日本がどんどん貧しくなっているのと同じく、ロシアは一部のオリガルヒを除いて貧しくなった。エリツィンによる急激な資本主義化が格差を生み出したのだ。

 本作品はロシアの資本主義への移行の最初期の生々しい様子を、人々の細かな表情とともに伝えている。チャイコフスキーの「スワン・レイク」が象徴的に使われて、当時の人々の、考えの纏まらない乱れた精神性をあぶり出してみせた。
0024名無シネマ@上映中垢版2023/01/29(日) 12:54:13.31ID:JoDpAUa/
■あらすじ
1991年8月19日。ペレストロイカに反対する共産党保守派がゴルバチョフ大統領を軟禁し軍事クーデターを宣言した。テレビはニュース速報の代わりにチャイコフスキーの「白鳥の湖」を全土に流し、モスクワで起きた緊急事態にレニングラードは困惑した市民で溢れかえった。夜の街では男がギターを掻き鳴らしウラジーミル・ヴィソツキーの「新時代の歌」を歌い、ラジオからはヴィクトル・ツォイの「変化」が流れた。自由を叫んだ祖国のロックが鳴り響くレニングラードは解放区の様相を呈し、8万人が集まった宮殿広場でついに人々は共産党支配との決別を決意する—— 本作品はレニングラードの8名のカメラマンが混乱する市中に紛れ撮影した映像をセルゲイ・ロズニツァが手にし、3日間で終わった「ソ連8月クーデター」に揺れながらもロシアの自由のため立ち上がったレニングラードを再構成する。

■みどころ
面白かった!
今年もロズニツァ監督の編集の凄みを体感する一本に出会えました。
0025名無シネマ@上映中垢版2023/01/29(日) 12:54:18.44ID:JoDpAUa/
ソ連8月クーデターのレニングラード現地で撮影した8名のカメラマンの映像を使って群衆の行方、彼らを導く人間、共産党保守派の攻防の3者を映すお話。

去年に鑑賞した「ミスター・ランズベルギス」と地続きになった映画で、ランズベルギス氏主導によって自由を得たリトアニアに感化された人間たちの蜂起を描き群衆にまで伝播していく。

撮られた映像が限定的なのか尺が短いのか、ロズニツァ作品の中ではコンパクトなボリュームではある。
が、短い尺の中で
・体制に対する本音と建前
・不信感から生まれる過去の悪習に逆行する事へNOと打ち出す群衆の強さ

を力強く描いたのは良かったです。
ミスター・ランズベルギスと違って群衆の存在が
・エリツィン大統領の掲げる自由を阻害する勢力に対抗する「熱量」
・自由という開放的な概念に対する「期待値」
のメタファーみたいな存在に感じる。

その中で群衆にも様々な顔が存在したり、お祭りのような大団円を醸し出したり…と歴史の転換点への歓迎と阻害要因に徹底的に反抗する気概を感じ、国に関係ない熱さを感じれた一作でした。

そしてこれまでのロズニツァ作品と同様に侵略・暴力の歴史は循環していく主題もしっかり伝えていて、転換点であっても糸口は何らかの形で不可避的に残る怖さも込められているのだ。

そういった意味でも歴史の一端に様々な顔が存在する佳作で良かったです。
0026名無シネマ@上映中垢版2023/01/29(日) 20:04:18.27ID:Aiv/QwJu
話題のロズニツァ、なんだかんだでこの作品が初となってしまう。結論から言うとさっぱりわからなかった。後半は白鳥の湖が流れるたびに終わったかな?と思ってしまった。

内容に問題があるとは思わない。自分がノンポリなだけです。例えば白鳥の湖でロシアは浮かばずバレエしか思いつかない人もいるのに対して、ここで使われる意図というのが政治的或いは国民的にわかるところがある人もいるということ、つまりはそういうことだ。それは、ペレストロイカやソ連解体がもたらした文化的な恩恵は映画に限らず少なからぬものをわれわれも受けている。しかしモノクロのアーカイブ映像でワイズマンのように説明を排斥されたらわかるものとわからないもので感想は真っ二つになるはず。モノクロなども起こってることがわかるから活かされる。

なんもわからないで観ていても行き過ぎる人や反動もあるだろうなあとかそもそも思うことであって活写されたそれ自体から何も得られない。最後のほうの大群衆を見ても単に人が多いなあとしか思えなかったのです。
0027名無シネマ@上映中垢版2023/02/02(木) 00:54:09.51ID:a+j96gqy
現サンクトペテルブルクでソ連崩壊を撮影したドキュは、歩道からはみ出して道路を闊歩する群衆のショットに始まり、広場に整然と駐列する車で終焉を迎える。この間、公共空間が政治空間へと様変わった。その主役は市民だ。モスクワでのクーデターの詳細が分からず人々は路上に溢れる。有象無象の情報が錯綜する中、市民は統治体制と国の方向性について迸る議論を重ねたに違いない。広場で固唾を飲んで演説に耳を澄ます群衆がいる一方、道をバリケードで塞ぎ半ファシズムを表明する者達もいる。混乱の末、波打つ海のように広場に押し寄せた群衆がその総意なのであろう。ソ連の侵攻によって他国で亡くなった人々への黙祷の呼びかけに次々に挙がる腕は非暴力と政治体制の平和的移行への決意を表している。
他国で起きている悲劇への連帯と共感が30年後の今も起こっていることを願っている。
0028名無シネマ@上映中垢版2023/02/03(金) 21:19:25.97ID:W8LqDOIF
個人的にロシアの歴史に興味があるので映画館で見てきた。

歴史が動く瞬間のドキュメンタリーほど緊迫感があり人々のエネルギーに溢れる映像はない。作られた映画とはまた違った体験が出来るのでとても好きです。

1991年ペレストロイカ(建て直し)に反対する共産党保守派がゴルバチョフ大統領を軟禁、軍事クーデタを宣言。「ソ連8月クーデタ」の3日間の街の動静。

劇中ずっと「白鳥の湖」が鳴っているのはなぜかと思ったら、当時の国営放送がニュース速報のかわりに白鳥の湖を流していた事によると。

エルミタージュ美術館前での演説シーンはかなりの人だかりができており、パンフレットによれば8万人が集まったのだとか。市長はじめ様々な人が演説をする。中でも女優のマリヤ・ベルゴリツの言葉が残る。

当時のクーデタに立ち向かう民衆。
しかしその首謀者裁かれていない。
今のロシアはこの映像をどう捉えているのか。

さて、パンフレットじっくり読も📖


🪆ロシア思い出話🪆
むかーしむかし1ヶ月間だけモスクワに滞在した事がある。

街のスーパーはレジがベルトコンベアで商品が流れていくスタイル(海外ではよくあるやつ)。でもレジのロシア人はベルトコンベアで流さず商品を投げてくる。すぐさまキャッチして袋に入れないと次に飛んでくる商品とぶつかって壊れる始末。たまごを投げるな!😇

そんなおそロシア体験をした。

ちなみにスーパーにはウォッカがずらりと並んでてめっちゃ美味しい。ウォッカはロシア語でводка(ヴォートカ)と言う。

おそロシアとおもロシアの思い出はまた機会があれば書きたい。
0029名無シネマ@上映中垢版2023/02/04(土) 12:22:26.97ID:01l1OUoO
あかん、歴史を知らないと価値がわからない映画だ😫
デモを起こす人々、宮殿広場に集まった8万人の迫力はすごかった。
情景を歌にした弾き語りの人が出てきたけど、ファシズムに屈しない歌詞が印象的でした。
0030名無シネマ@上映中垢版2023/02/06(月) 11:36:44.04ID:9c9gsoyg
『ランズベルギス』のリトアニアとリンクする1991年8月ソ連クーデターの話。レニングラードだから?か主張とかロックにかなり西側っぽさを感じた。にしてもロズニツァが使うアーカイブにはいつも思うが皆さん街に出すぎ。インターネット前後でこの辺どうなんでしょうか。でそのアーカイブ映像、時代的にカラーなのではと思うけどモノクロで処理され群集や熱狂に対しオブザーバー的に距離を取ってきたロズニツァらしさをここでも感じて心地よい。ボルシェビズムにもスターリニズムにも絶対戻らんとソ連にも民主主義的価値観が顕になった面白い時期の映像でありこれを残したかったのだとは思うが、その旧体制の反動から連呼される「秩序」という言葉…自分が知る限りそれこそ巧みに利用して暗躍したのがプーチンであり、そこまで射程に入れてたら完璧…と思ってたらちゃんと映していたので高得点を付けておく。最近映画を見てないので知らんのだけど個人的には現行の監督ではロズニツァが面白い。
0031名無シネマ@上映中垢版2023/02/07(火) 11:31:31.11ID:0GjFK3Tp
当時30前後だと、いま60。
まさに自分たちが勝ち取って作り上げてきた絶対的祖国なのだろう。
(私たちにはそんな情熱的なものないな)
地続き。
嘘と欺瞞はいらない!政治犯には裁判を!(耳が痛い)

歴史の勉強〜〜!!!しとけ〜〜!!自分。

速報ニュースの代わりにテレビで「白鳥の湖」が流れたんだね。
さりげなく若々しいプーチン。

ゴルバチョフ、エリツィン主導の8月クーデター
エストニアでは独立宣言
クーデター後、バルト三国の独立。

----以下wikiより----
この8月クーデターが失敗に終わった原因として、当時はまだ普及していなかったインターネットがもたらしたと AFP は分析している。

放送局も新聞社も保守派によって占拠され情報統制されている中、エリツィン率いる改革派は打つ手なしだった。しかし1990年に、当時ソ連の専門家が開発していた電子メールシステム「RelCom」から、電子ファイルを電話回線を用いてフィンランドに送信する際、何らかの原因で Usenet に漏洩していたという経緯があった。そこでまず誰かがエリツィンの声明をファックスで受け取り、このネットワークを介して西側諸国に流した。

西側のテレビが情報源を明らかにしたにもかかわらず、KGBは全く動かなかったという。クーデターの数週間前には KGB が RelCom 制作チームのオフィスに乗り込んだものの、モデムなどの役割がわからず、機材の押収やメンバーの逮捕なども行なわずに立ち去っていた。

クーデターから数ヶ月後に、RelCom制作チームの一人から事の次第を知ったエリツィンが、「新聞もラジオもテレビも機能していなかった。それでも国民は(自分の声明を)知っていた。君たちのおかげだったのか!」と驚き感謝している。
0032名無シネマ@上映中垢版2023/02/08(水) 22:56:41.16ID:oVFZWnpG
生の「同志(タヴァーリシ)」や「いいえ(ニェット)」が聴けるだけで現代史オタク大歓喜
あとサプチャークの鞄持ちやってた頃のプーチンが映り込んでて爆笑出来る
0033名無シネマ@上映中垢版2023/02/19(日) 11:21:09.12ID:M/69LSVA
自由と民主主義を求めて立ち上がって、その30年後にもっとひどい地獄がおとずれるなんて、だれも考えなかったし望んでなかっただろうな。
当時レニングラード市長のサプチャークの補佐をつとめていた若きプーチンが画面にうつり、「ワロージャ、ワロージャ」と呼ばれているシーンで背筋が凍ったけど、あの音声は後のせらしい。もー怖いからやめてー。
0034名無シネマ@上映中垢版2023/02/23(木) 06:31:44.85ID:PrJP0XaT
ロズニツァの『ドンバス』や『国葬』が好きなので、本作も期待していた。全体としては期待通りであり、超えてはこなかった印象。

1991年8月の共産党保守派によるクーデターは、教科書では一行で終わってしまう出来事であり、ソヴィエト社会主義共和国連邦の崩壊もペレストロイカの後づけくらいの扱いしかされていない。しかしクーデター前後の数日間を考えると、それまで表向きだけでも信奉(服従)してきた共産主義を捨て、その指導者たちを裁く決断を人民がするという劇的なものだといえる。数学者から映画監督へ転進する準備をしながらキーウでこの出来事を見つめたロズニツァ自身が、この出来事をどのように総括するのかが、本作の肝だったのだろう。

白眉はやはりレニングラード(サンクト・ペテルブルク)市長のサプチャークによるエリツィンを支持する演説の横に映りこむプーチンの映像だろう。さすがはロズニツァ。こういうシーンを見逃さない眼は、ドキュメンタリー×フィクション作品を撮るうえで欠かせない。

結局は裁かれなかったソ連共産党の指導者たち、その後のエリツィン政権期に現前したロシア史上最悪とも言われる経済危機、救世主プーチン、そしてウクライナ侵攻。あの日、広場に集まった群衆の夢はなんだったのだろうか。共産主義から決別し、市場経済に乗り出したロシアとはなんだったのだろうか。最後のシーンが国旗の交換であることに、ロズニツァの意図が見え隠れする。

旗(外見)を変えただけのことだったのだろうか。アフガニスタン侵攻のような国際法に完全に違反する侵略を繰り返し、人民を抑圧したソ連と今のロシアは何が違うのだろうか。大きな問いかけを残して、本作は終わりを迎える。ウクライナ戦争の開戦から1年を迎えるにあたって、見ておいて損のない映画だと思う。
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