《クラシック音楽界の事件B高橋辰郎チェンバロ損壊事件》
2018/06/12 16:45
http://maguline.blog.jp/archives/52177403.html

[2018/6/12]クラシック音楽界の古い事件を改めて紐解いていこうという、あまり面白くない企画の3回目。

執筆はかくいう当ブログの管理人だ。

今回取り上げるのは、楽器運搬に伴う事件。
発生したのは、今から12年前の2006年7月のこと。まずは事件を報じた毎日新聞の記事から見てみよう。
掲載は事件発生後から2年経った、2008年7月18日の夕刊(第13面)。
社会面のトップ記事で、5段抜きの「チェンバロ壊された!」の大見出しが躍っている。ちょっと長いが引用する。

[引用開始]「チェンバロ壊された! 著名製作者・高橋さん、市民楽団を提訴」

国際的に有名なチェンバロ製作者、高橋辰郎さん(56)と演奏家の妻尚子さん(55)=東京都江戸川区=が、
ずさんな扱いでチェンバロを壊されたとして、江戸川区の市民楽団
「江戸川フィルハーモニーオーケストラ」と団員を相手取り、880万円の賠償を求め東京地裁に提訴した。

原告代理人によると、高額な楽器の賠償を巡る裁判は珍しいという。

破損したのは、辰郎さんが86年に製作したチェンバロ。米国のジャズピアニスト、キース・ジャレットさんが買いたいと申し出たが、高橋さんは「自己の最高傑作で売る気持ちになれない」と断った。
その代わりに同じ型のチェンバロを製作し、89年に400万円で売った。同型は世界に2台しかなく、そのうち1台が壊れた。

訴えによると、尚子さんは06年7月、江戸川フィルから協演依頼を受けた。
演奏会前日のリハーサルで、団員3人が会場にチェンバロを搬入する際に、高さ約70センチの台車から落とした。亀裂が入り弦を張れず、修復も不能となったという。

このチェンバロには、現在では入手が困難な良質のインド産の紫檀を使っており、同じ物を製作するのは難しいという。高橋さん夫妻は楽器の価値を600万円とし、慰謝料などを加えた賠償を求めている。