>>992 バーンスタイン指揮/VPOの新盤の初期盤の解説書より。
アルマ・マーラーの回想録より。
最終楽章で彼は自分のこと、自分の破滅のことを描写しています。あるいは
彼がのちになって語ったように彼の主人公の死を描いたのでした。
『運命から3回の打撃を受けた主人公は、その3回目の打撃で樹が
倒れるように倒れる』。マーラーは文字通りそう言いました。
 この作品ほど彼の心をありのままに吐露した作品はありません。
わたしたちはふたりとも当時泣きました。それほどわたしたちは
この音楽とその暗示する予感を深く感じとったのです。交響曲第6番は
マーラーのもっとも個人的な実生活と結びついた、さらにまた予言的な
作品だったのです。彼は《亡き子をしのぶ歌》と交響曲第6番で自分の
実生活を『予感的に音楽化』したのでした。彼自身も運命の打撃を
3回受けました。そして3度目の打撃で彼は倒れたのです。でも交響曲
第6番作曲当時は、彼は元気で、自分の作品の偉大さを確信し、その
枝は青々と繁り、花をいっぱいにつけていたのでした。中略。