<思い込みが激しいようだね。>
この言葉をそっくりそのまま貴公に進呈してさしあげよう。

< 好き嫌いの話など全くしていないんだがな。>
他の作曲家の作品の校訂者とは違って、現代のブルックナーの校訂者は、
誰も決定版あるいは最終版の提示などを目的とはしていない。
したがって、彼らが提示したスコアを我々素人は好き嫌いで語るだけでよいのだ。
そして、和気あいあいと語り合うのであって、自分の好きな形態に何か権威付けを
して他より優位に立とうとするのは、ブルヲタの風上にもおけないバカモノだという
ことなのだ。
ただ、誤植や資料の選択ミス、楽譜の細部の解釈については間違いが
生じることがままあるので、それらは正していかなければならないとは思う。
コースヴェット版にも数多くの誤植や不明点が存在する。
また、校訂者は往々にして他の版との差別化を図ろうと無理な解釈や
別の資料をごちゃ混ぜにすることもあるので、その点は注意を要する。