そして札幌交響楽団が、瑞々しい弦楽器群を中心に、これまた見事な演奏を聴かせてくれたのだった。
 指揮のバッティストーニは例の如く獅子奮迅の指揮ぶりで、エネルギー全開の演奏をつくり出し、打楽器群を通常以上に強調させて、昂揚個所ではそれこそ劇場全体を震撼させるような大音響を轟かせたが、札響もよくこれについて行ったものである。
だがそのようにオーケストラを鳴らしながらも、歌手の声をマスクさせることなく、うまく響かせるように持って行ったところなど、この若い指揮者の力量を認識させる指揮ぶりであった。
彼の札幌での人気もなかなか高いようである。

東条碩夫のコンサート日記より