>>961
その楽器に慣れて性能を引き出せるようになったに過ぎないことを「弾きこみ効果だ」と錯覚しているんだ、と考えているんですね。
そんなの信じないといわれら、それはもう仕方ないですねとしか言いようないですけど、そのふたつは違うことだし、繰り返し弾いて音を出すことで「形は完成していてもまだ未熟な楽器」の渋い木の音を使用者が音を出すことで開かせる必要があるという話を、たぶん御存知ないんだろうと思うんですよ。
経験としても知識としても。
たとえば加納木魂さんの話ですが。
生前、「演奏者に渡してから毎日弾いてもらって自分のものが楽器として初めて完成するのに4年」と仰っていました。
新しい楽器を買ったらしばらくは毎日、全部の弦の1フレットからハイフレットまで万遍なく一音づつ強めの単音を出すということを続けると早くよく鳴るようになると教えて頂きました。
桜井さんも演奏者側によって育てられることを例えて「氏より育ち」だと仰っていたようです。
だから後にうまく育つように作り手はちゃんと基本を作らないといけないと。
他にも製作家や演奏家で同じ意味の話や体験をしている人はいるのですけど、挙げるとキリがないくらいいます。
特にスプルースの変化具合は顕著ですが数十年前のビンテージものでも全然弾かれてないものは、ほとんど新品と同じ音のままなんですよ。
ただ保管状態が適切で良ければ自然乾燥が進んでいるので、しっかり弾いていけば音の開き方は普通よりも早い傾向(1〜2年で次第に鳴り始める)にあります。
でも弾かない限り全然変わらないままです。不思議ですけど。
それはその楽器に自分が慣れることや馴染むこととは全く別のことで、かなり客観的な話なんですけどね。
本当は、これが分かると楽器を自分で育てる醍醐味や面白さでもあるんですよ。
「気のせいだ」なら仕方ないですし、まあこういうこと言っていた人がいたなと思ってもらえれば。