「ナットの調整だって? ああ、もちろん自分でやってるよ、これだけは他人に任せられないからね。」
と、ジミは軽く微笑みながら、ソファーに座った自分の隣で
まるで恋人のように身体に寄り添わせていたストラトを手に取った。
そして、おもむろにタバコを一本取り出して火を付ける。
「俺はコイツを良く使うだろ?(アームバーを握りながら)ナットがダメだと直ぐに音程が狂って酷いプレイになっちまう。」
「プロになってからは腕利きと言われたギターテクを何人も雇ったもんさ。でもココだけは満足な仕事をしてくれない。」
そして僅かばかりの沈黙の後に、伏し目がちで寂しそうにつぶやく。
「みんな何も分かっちゃいない。」
ふとギターから顔に視線を戻すと、いつのまにかジミの顔から笑みが消えている。
ミュージシャンというよりも、まるで研究に没頭している科学者の顔だ、眼だ。
以前、アポロ13号についてNASAの関係者に開発秘話インタビューをした時の事を思い出し、
ステージであれだけワイルドなパフォーマンスを演じてみせる男の姿とは全く異質の、
その求道者のような繊細さに驚いて私が言葉を失っていると、ジミは空気を変えて私を和まそうと思ったのだろうか、
いつもの、あの人懐っこい笑みを浮かべながら立ち上がり、部屋の隅に置いてある大きな段ボール箱を抱え戻って来た。
「笑ってくれよ、全部失敗作さ。」 と、おどけ口調で蓋を開ける。
その箱の中身はなんと、膨大な数のナットの数々だった。 『ジミ、その知られざる素顔 Vol.1』 (民明書房)
ギターの改造&パーツ総合スレ【42】
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357ドレミファ名無シド (ワッチョイ 6633-/fp1)
2020/01/29(水) 12:14:44.79ID:c/t5m4mi0■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
