アレの発言で最も有名なのは、1953年にニューヨークで行われた会議における「アレのパラ
ドクス」である。これは、ジョン・フォン・ノイマンが発展させた「望ましい効用」という常識を基礎
にしている。
この会議のとき、アレは、連続する2回のくじに関する質問を、たくさんの参加者に問いかけた。

1回めのくじ
オプションA:確実に1,000ドルがもらえる。
オプションB:10%の確率で2,500ドルがもらえて、89%で1,000ドル、そして1%は賞金なし。

2回目のくじ
オプションA:11%の確率で1,000ドルがもらえて、89%は賞金なし。
オプションB:10%で2,500ドルもらえて、90%は賞金なし。

ほとんどの場合、参加者は1回目のくじではAを選択し、2回目のくじではBを選択する。1回目の
くじにおいては、個人は期待利得の低い方を選択し、2回目のくじにおいては、期待利得が大き
い方を選択したのだ。この実験は何度も繰り返されたが、全て同じ結果になった。
このパラドクスは、新しい学問である行動経済学において、プロスペクト理論などで理論的な説
明がなされている。


モーリス・アレ (Maurice Allais)
http://cruel.org/econthought/profiles/allais.html