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Card & Kruegerは一つの事実を発見したのであり、その発見をどう解釈するかとは
別のこと。理論は、いくつもの事実、多様な側面の諸事実の総合としてある。

この場合、重要なことは

    限界生産性=賃金   (1)

という公式には、すでに多くのアノマリ(違反事実)が知られており、一つの事実
の発見者であるCard & Kruegerの解釈は問題ではない。

(1)は、労働市場における公式だが、より一般的には

限界収益=限界費用   (2)

という形をもつ。しかし、この公式自体も、多くのアノマリの蓄積を無視して
あたかも真実であるかに信じられているものだ。経済学は、こういう基礎の
基礎から組立て直さなければならない。

たぶん此処で現代古典派経済学に文句を言い続けている諸君は、新古典派=
主流派の多くの公式(たとえば、(2)は1930年代のもの)を盲目的に受け入れてい
るだけで、それに不都合な諸事実について知らず、さらにそれらが意図的に隠さ
れていることすら知らないのだ。

主流派の内部でのみ純粋培養されてきた人には、自分とはすこし別の考え方を
知る必要があるだろう。もちろん、文句を言いたいだけの諸君にそんな気がない
ことは初めから分かっている。すこしだけでも、自分の考えに疑問を持っている
人にしか伝わらないだろうが、まずは

塩沢由典『複雑系経済学入門』生産性出版、1997。

を読んでみてはどうか。読まずに文句だけいうやつは暇人だとして無視
する以外にない。しかし、ここに書かれていることに反論できるなら、この
スレにふさわしい人物として十分議論に値するだろう。まあ、そういう人物
が出てくる可能性は極めて小さいことは確かだが。