神奈川県内の雑居ビルの一室。県内在住の50代の男性がここに英会話教室を開いてからまもなく半年。
生徒は幼児のみで3人。経営は苦しい。「でも、やりがいはあるんです」男性は強調する。
長い間病気で療養してきた。気づけばもう還暦に近い。このままの人生でいいのか。
勉強を続けてきた英語を何とか生かせないかと考えた。
格安の月謝で募集。生徒はすぐに集まった。しかし...
「中学英語でも文法を間違える。質問されるとすぐにボロが出てしまう」
さらに男性自身の性格が追い打ちをかける。
「生徒や保護者をすぐ罵倒してしまう。気持ちを抑えられない」
生徒はあっという間にゼロに。頭を抱えた。
しかしあきらめなかった。「そうだ、うんと初心者だけを集めればいい」幼児のみを募集した。
今はアルファベットと簡単な発音のみを教えている。
「Pは唇を閉じて開いた瞬間にプ」
幼児たちが続く
「ぷ」
「よくできました。じゃあ先生に続いてください、ア」
「あ」
「オー」
「おー」
「ン」
「ん」
「続けて言いますよ。パォーン」
「ぱぉーん」
大抵1か月で全ての生徒がいなくなると言うが男性の顔は明るい。
「ネット授業をはじめようかと思います。全国規模なら幼児はいくらでもいますから」