河村鳴紘 | サブカル専門ライター
5/30(土) 10:30
https://news.yahoo.co.jp/byline/kawamurameikou/20200530-00180862/
【略】
 そして、今年に入って有力スマホゲームのサービス終了が相次いでいます。
「ドラゴンボールZ ブッチギリマッチ」と「聖闘士星矢 ギャラクシースピリッツ」が今年3月、
「ファイナルファンタジー」の野島一成さんら豪華な開発陣で話題になった「最果てのバベル」が4月に幕を下ろしました。
「はたらく細胞」や「蒼き鋼のアルペジオ」などのアニメ化作品のスマホゲームも終了し、
「パズドラW」や「ポケモンスクランブルSP」といった有力IPを使ったスマホゲームも終了を発表しました。まさに“屍(しかばね)の山”が築かれています。
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〓市場自体はいまだ成長傾向〓
 ではスマホゲーム市場が縮小したかと言えば違うのです。矢野経済研究所が今年2月に発表した2018年度の国内スマホゲーム市場規模は前年度比5.4%増の1兆850億円で、
2020年度の予測も1兆1920億円と右肩上がりなのです。
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国内スマホゲーム市場の推移=矢野経済研究所HPから
https://rpr.c.yimg.jp/im_siggsoBvLAkV8gN0t_LZyJB5MQ---x800-n1/amd/20200530-00180862-roupeiro-001-15-view.jpg
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 ではなぜ“屍の山”になるのかといえば、「パズル&ドラゴンズ」や「モンスターストライク」などビッグタイトルが上位を占めたままで、そこに新規タイトルが食い込むのは極めて難しいからです。
しかし人気のスマホゲームでも収益が低下し、決算では株主から厳しい目線を向けられています。新規と人気作のいずれも苦戦という構図なのですね。
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 そんな厳しい状況の中、「マリオ」や「ドラゴンクエスト」の名前を冠するビッグコンテンツが圧倒的に有利となります。新規だけでなく既存のユーザーをどんどん奪い取りますし、
ビッグコンテンツの激突の様相を呈しているので、普通の会社は指をくわえてみるしかありません。おまけにスマホの高性能化を受けて、グラフィックの向上による開発費の高騰もネックになっています。
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◇限界も「ガチャ」頼み変わらず
 スマホゲームは、基本無料で遊べることを武器にして市場を拡大してきましたが、数年前から壁に当たっていると指摘されているにもかかわらず、その流れが動きません。
ゲーム内容が、ギャンブルのようなランダム要素の「ガチャ」一辺倒で、似たり寄ったりなのです。これはスマホゲームの開発者が悩む問題でして、打開できないのが現状です。
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【参考】元ソーシャルゲーム開発者が語る、ガチャの功罪とは──「繊細に綿密に作ったゲームが、ガチャの快感になぎ倒されていく」(電ファミニコゲーマー)
【リンク後述】
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 もちろん、開発者も手をこまねいているわけではありません。スマホゲーム市場は、2割の課金ユーザーが市場を支えていると言われてきました。
そこで、8割の無課金ユーザーから「広く浅く」収益を得る方法を模索しています。「ポケモンGO」は当初から「広く浅く」の課金を目指す方向性を打ち出してきました。
しかし、他ゲームがそれに追随する流れにはなっていません。コアユーザーから収益を上げるほうが数字が読めるため、このビジネスから動かないわけです。
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 さらにスマホゲームは、プレーをやめるとき「飽きる」か、サービス終了しかありません。蓄積したデータが「ゼロ」になり、ブランドのイメージはマイナスになります。それを嘆くクリエーターの声も実際にあります。
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 一方、家庭用ゲーム機のソフトは、「エンディング」という結末があり、区切りをつけられます。そのため、ブランドイメージがプラスになりやすく、それが後々の続編やシリーズにもつながっています。