1^ a b 森、1985年
2^ 母音の前に-u-が入る「合口字」は「末」「対」「鬼」「倭」「獲」「華」「為」「越」「惟」の9種、11字であり、
残りの135字はすべて開口字である(森、1985年、171頁)。
「合口字」が「獲」「華」「為」「越」「惟」などの喉音字に集中する現象も上代日本語と共通している。
3^ 訳音語に用いられた146字のうち、母音で終わらない「陽声字」は8字、
「入声字」は10字となり、陽声と入声を合わせた子音韻尾字の割合は12%である。
4^ 森、1985年、166頁
5^ 森、1985年、172頁
6^ 「奴」の使われ方に特徴が見られる。
「奴」が国の名前として使われているのが10回と
「卑奴母離」の官名に4回そして「奴佳鞮」の官名に1回ですべてである。
なぜ国名に「奴」が多く用いられるのか、という問いの答えが、
北九州の古来から知られている「奴国」に関連のある国、
「奴国」にかつて属していたあるいはその末裔の立てた国を意味するならば
「奴」を使用した頻度の高い理由は説明がつく。
7^ 森、1985年、185頁
8^ 中国における中古(隋・唐時代)の「模」韻字はオ列甲音で発音されていた、
しかし上古音(周時代)の「模」韻字は「魚部」に属しア行音で発音されていた。
魚部は前漢から後漢にかけてア列からオ列(甲類)に変化したからである。(森、1985年、184頁)。
9^ 森、1985年、187頁