日本語でいちばん難しいのは、欧州言語のみならずアラビア語や中国語でも常識である、主語、動詞というものが、
日本語では必須の存在ではない、という点にある。
まず、動詞がないのに文が成立することに驚愕する。いわゆる名詞文、形容詞文のことで、いきなり発想の転換を迫られる。
そして、その名詞文、動詞文、形容詞文いずれも、主語なしで成立する。
これは、「主語が省略される」のとは根本的に違う。それなら世界中多くの言語でふつうにある現象だ。
ヨーロッパやアラブ、トルコなどの言語では、主語が動詞の活用に現れるから、省略可能だ。
中国語やインドネシア語などでは、前の文の主語と同じ主語の文が続く時、省略可能だ。
しかし、日本語の場合、「省略可能」なのではなく、ないのがデフォであり、自明な主語をわざわざ書くと不自然になる。

世界で唯一、朝鮮語のネイティブだけが、この超困難な発想の転換をせずに済む人たちであり、日本語を簡単だと言える唯一の人たちである。