日本製鉄、八幡製鉄所に460億円投資 車電動化へ鋼板増産
自動車・機械 環境エネ・素材 2019/8/1 19:45
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48087670R00C19A8TJ1000/
日本製鉄は1日、八幡製鉄所(北九州市)に460億円を投じ、自動車や電力向けの鋼板加工設備を増強
すると明らかにした。自動車のモーターなどに使う「電磁鋼板」の需要増に対応する。車の電動化を
背景に国内外で需要が増えている。一方、国内事業の採算悪化を背景に、2021年3月期までの3年間で
計画していた設備投資額は、1割減の1兆5千億円程度に縮小する方針だ。八幡製鉄所で「下工程」と
呼ばれる、高炉で造った鉄を鋼板に加工する設備を中心に増強する。具体的な設備の概要や時期は
明らかにしていない。宮本勝弘副社長は投資の狙いについて「HV(ハイブリッド)車や電気自動車向けで
、非常に性能の高い電磁鋼板が必要になっている」と話した。同製鉄所は国内シェア首位の
鉄道用レールや電磁鋼板を生産している。一方、21年3月期までの3カ年で計画していた国内での
1兆7千億円の設備投資については「1割程度削減する」(宮本副社長)とした。自動車向けなどで
優先度の高い投資を優先する一方、必要性の低い投資は時期の先送りも検討する。投資の選択と集中を
進める背景に国内の製鉄事業を取り巻く経営環境の悪化がある。同日、発表した19年4〜6月期の
連結決算は純利益が前年同期比61%減の333億円。7〜9月期の純損益は33億円の赤字を見込む。19年
3月期の設備トラブルからの回復で生産量は増えるが、中国が景気刺激策の一環で粗鋼を増産。鋼材
市況が悪化する一方、鉄鉱石など原料価格が上がっている。宮本副社長は今後の中国のリスクについて「
景気刺激策が継続する間は続く」とし「コストダウンも含め、生産体制を再構築する」と話した。