野党再編 密かに進行中 小沢一郎と枝野幸男 会談の真相=鈴木哲夫
https://mainichi.jp/sunday/articles/20171127/org/00m/010/001000d

▼2019年統一地方選までに「野党結集」は完結

▼「立憲・民進・無所属の会・希望」連携のモデルケースの動き

 民進党の分裂によって、野党のバラバラ感は拭えない。
そうした中、自由党共同代表の剛腕・小沢一郎氏と野党第1党となった立憲民主党代表の枝野幸男氏の会談が注目されている。
会談で一体、何が話されたのか。2人の会談から野党結集の今後が読み取れそうだ。

 そんな中、野党再結集のキーマンのさまざまな動きが関心を呼んでいる。
その一つが立憲民主の枝野幸男代表と、その天敵とさえ言われた自由党の小沢一郎代表の急接近だ。
特別国会直前の10月30日夜、2人は都内のホテルで会談した。

 立憲幹部は「驚いた。2人は永遠に気が合わないと思っていた」と話すが、
野党結集へ向けて、実は総選挙前から密(ひそ)かに接触していたというのだ。

「野党一本化を模索する小沢氏は選挙前、“立憲に自由党の3人を受け入れてほしい”と枝野氏に頭を下げた。
これまで小沢氏と距離を置いてきた枝野氏は、意外にもすんなり受け入れた。
その結果、自由党出身候補らは当選し、小沢氏は『お礼をしたい』と伝えたところ、
枝野氏も『(今後のことも含め)まず会うのは小沢さん』と会談が実現したのです」(立憲関係者)

 では、どんなやり取りがあったのか。

「小沢氏は枝野氏に謝意を伝えると共に、首班指名で野党は一つと考えれば、当然第1党の枝野氏に投票すべきと持論を展開。
一方で枝野氏は、小沢氏と握手することで野党結集への本気度を内外に示すと同時に、立憲民主につきまとう『左派色』を薄める目的もあった。
原理原則を通す小沢氏は立憲民主が第1党になった今、『今後は立憲が中心』と言っています」(同)

 確かに枝野氏は意外に現実派だ。2016年夏の参院選を4カ月後に控えた春、共産党などとの連携には表向き慎重姿勢を見せていた。
だが、私の取材に対して、「野党が統一候補で戦わなければ勝てないのが現実。共産を含め、1人区の調整を相当やっている。
全部(の1人区)で必ず統一候補はやる。まあ見ててください」と宣言し、その通り根回しで実現させ、1人区で統一候補が11勝を挙げた。

 枝野氏に近い前出の立憲民主の議員はこうも言う。

「原理原則を重視する小沢と枝野両氏には共通点がある。
今回の会談を機に、共闘方法などを話し合うだろう。
小沢氏は共産党の志位和夫委員長と太いパイプがある。再結集のために互いが役割分担するのではないか」

 また野党結集については、民進党から分かれた立憲民主、希望の党、無所属の会、それに社民党や自由党が中心。
共産党は選挙協力などあっても合流は難しい。

 結集のカギを握る主役は、無所属の会もキーマンだ。同会はベテラン議員が多いが、
各党から等距離ということもあって接着剤になり得る。同会のベテラン議員の一人は、結集のスケジュールについてこう話した。

「次の国政選挙は19年夏の参院選だが、勝負どころは同4月の統一地方選だ。
統一選は中選挙区だから、放っておいたらバラバラの状態で選挙戦に突入してしまう。
そうすると、その3カ月後の参院選までにはとても野党統一とはならない。だから統一選までに野党結集を完結させる必要がある」