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――日本側が受ける影響はどんなものがありますか?

浅石:たとえば、私的録音録画補償金制度というものがあります(編集部注:コンテンツを録音・録画する機器、メディアごとに、あらかじめ補償金を上乗せして販売する制度。
5月30日のCISAC総会では、日本でも、対象機器の公平な見直しをもとめる決議が採択された)。

CISAC会長のジャン・ミシェル・ジャール(エレクトロニックミュージシャン・作曲家)の会見で、一部の記者から
「私的複製の補償金なのに、欧州ではなぜスマホにまで補償金をかけるんですか?」という意見がありました。
日本の議論はそこで止まっているんです。
一方、ヨーロッパはそれを乗り越えて、権利者と企業、個人に機器を提供する企業との利益配分が補償金と捉えられています。

ジャン・ミシェル・ジャールは会見で、自身のスマホをかかげて、「これがなんで10万円で売れるんだ」と聞き返したうえで次のように話しています。

「電話と通信だけなら、5万円くらいで十分ですよね。
でも、いろいろなものが付加されています。
その1つとして、音楽を聞いたり、発信したりする機能も入っています。
ヨーロッパの企業は、その責任として、創作者に対価還元しようと、ストリーミングの時代になっても、ちゃんと補償金を払っています。
ぜひ日本の人たちにもわかっていただきたい」

このような創作者・クリエーターを尊重できる環境を、日本でも整えていきたいですね。