もうひとつの理由は、大坂の陣の牢人は幼児期に知った。筆者は立川文庫の時代の人間ではないが、筆者が幼少期に読んだ漫画や小説の作者が子供の頃に立川文庫の愛読者たちであった(司馬遼太郎もそのうちのひとり)。
幼少期に知ったヒーローには、幼馴染に再会するようななつかしさがあって、大人になっても応援したくなる気持ちに変化はない。
これに対して、桐野や別府の名は20歳前後に『翔ぶが如く』を読んで知った。大人になって短い間知人であった人々と違いがないんだわ。生きていようが死んでいようが、別にどっちでもいい。