ただ然しながら、彼らは暗中狙撃を事とし、
事終わるや闇から闇を伝って逃げ去るものであるから、
その現行犯を捕ふることが甚だ六ケしく、
會々捕へて見た者は犯人よりも嫌疑者であるといふ場合が多い。
嫌疑者でも現に銃器弾薬類を携帯して居れば、
嫌疑濃厚として之を引致拘禁するに理はあるが、
漠然たる嫌疑位で之を行ひ、
甚しきは確たる證據なきに重刑に處するなどは、
形勢危胎に直面し激情昂奮の際たるに於て多少は已むなしとして斟酌すべきも、
理に於ては穏當でないこと論を俟たない(信夫淳平『上海戦と国際法)。