ネタw
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阿部牧郎氏『豪胆の人 長勇伝』より
 あくる日の朝(「ゆう」注 17日入城式の翌日だが、明らかに日付がおかしい)、第十三師団の山田支隊長副官から方面軍司令部の長へ電話が入った。
「一万五千の捕虜の処置に困惑しています。師団に問合せると、方面軍に訊けというだけです。明確な指示をいただきたい」
 きいて長は怒りにかられた。
 きのうも第六師団と第百十四師団から同じ問合せがあった。
使者を飛ばして直接訊いてくる連隊もいくつかある。
答えられるわけがない。
殺す以外にどんな手段があるというのだ。
捕虜の人道的なあっかいをきめたジュネーブ協定など、貧乏国どうしの戦争の現実のまえではカラ念仏にもならないのだ。
 とっさに長は肚をくくった。
だれかが責めを負わねばならない。
逃げまわっても解決にはならないのだ。
おれが責任をとってやる。
おれが悪者になる。
長勇が非情の決断をすることで方面軍司令部も第一線部隊も救われるのだから、もって瞑すベしである。
 呉淞の岸壁の向うにあった日本兵の死体の山を長は思いうかべた。
土に杭を突き刺し、戦死者の鉄かぶとを杭にかぶせただけの、日本兵の即席の墓を、上海付近でいったい何百見たことだろう。
蘇州河の近くにも、呉淞に負けないほど多数の日本兵の死体の山を見てきた。
これが戦争なのだ。
上に立つ者は、地獄に堕ちる覚悟のうえで、戦場にふさわしい悪鬼の決断をしなければならない。(P234)
「やってしまえ。かたづけるのだ」
はっきりと長は告げた。
 近くにいた松井軍司令官の副官角良晴少佐がおどろいて駈け寄り、長を制止した。
 軍司令官室へ角は駈けこんだ。まもなく長は呼ばれてその部屋へ入った。
「いかんぞ。捕虜を殺してはならぬ。人道にもとるまねは禁止する」
顔を赤くして松井大将は命令した。
「わかりました。でも捕虜はどうしますか。明確な指示をくれと第一線部隊はいっています」
松井を腕みつけて長は訊いた。
何秒か松井は沈黙した。やがて苦しそうに顔をあげ、解放しろ、武装解除して故郷へ帰してやるのだ、と答えた。
「解放すれば捕虜は中国軍に復帰します。彼らによってわが将兵が何百、いや何千と殺されることになる。それでも良いのですか」
「わかっておる。それでも解放だ。仕方がない。受入れの能力がないのだから」
わかりました。答えて長は退去した。
事務所へ帰って受話器をとり、さっきの指示は一時取消しだと電話の相手に告げた。
三十分後、長の席の近くに人がいなくなった。
彼は山田支隊へ電話をいれ、捕虜を射殺せよとあらためて命じた。
報告は不要、とつけ加えた。
松井に知らせずに処分するのが、松井にとっても最良の方法なのだ。
相手は困惑していた。ほかに手段がないか考えてみます。そう答えて電話を切った。
その日、午後二時から南京城内飛行場で全軍の慰霊祭がおこなわれた。
(P235)

日付がおかしいという根本的な疑問は置いといて、
肯定派のHPでさえ
@【「殺せ」と言ったのは長】
A【松井大将は殺害命令を出していない】
B【山田支隊は殺害以外の手段を選択】
と言っているんだよなあw