岩倉使節団が命がけの洋行で近代文明の調査に力を尽くしていた頃、
日本に残った西郷隆盛は何をやっていたのでしょうか・・・

西郷と同じく参議の職にあった大隈重信の証言がある。

「西郷には実に困った。彼は一般の政務には関心なきが如く、
留守内閣では太政官の正院に出頭しても、
ただ板垣(退助)と相対しつまらぬ話に打興じ、やがて家に帰っていった」

明治新政府における西郷の浮き上った、無為無策な姿が目に浮かぶようだ。

「 世間の多くの人は西郷を英雄と言い、豪傑と称しているが、
私は不幸にして、未だに西郷のどこが英雄でどこが豪傑だったのかさっぱり分からない 」
日本史籍協会編『大隈伯昔日譚』二、東京大学出版会、1981年履刻