ミッドウェー海戦でベテラン搭乗員が失われたという話はかなり浸透している
しかしながら、これは正確ではないと思われる

諸説あるが海戦に参加した機動部隊の搭乗員はおおむね500名、戦死は110名である
これを多いか少ないかは考え方によるが、少なくとも搭乗員損耗率から言えば、
ミッドウェーの前に起きた珊瑚海海戦の損害率のほうがはるかに大きい

しかも110名の内訳は大半が飛龍で72名、残る3空母はたったの38名に過ぎない
赤城などはわずか7名でほとんど生還している

これはある意味当然で、飛龍の搭乗員は米機動部隊に全力攻撃を敢行し大きな損害をだした
一方赤城加賀蒼龍は、出撃前に母艦機能を喪失しており搭乗員は戦っていないのである
なおかつ空母への攻撃は雷撃ではなく急降下爆撃であったため、各空母とも沈没までに相当の時間が
あり、艦のダメコンに無関係の搭乗員は早々に退艦し駆逐艦に拾われているのである

仮に山口少将の意見具申の通り、米機動部隊発見とともに4空母の艦爆艦攻を護衛なしで即時出撃させていれば
搭乗員の損害は倍どころではすまなかっただろう
むろんそれにより母艦の損害は減り、戦果は増えただろう

実際のところベテラン搭乗員が損耗したのは、その後のソロモンの戦いにおいてであった