すると、徐々に声が上がり出す。

「せっかくクラス皆で踊る湘南体操なのに、ユニフォームが揃わないとカッコ悪いです」
「男子が紺色、短パンなんて誰が決めたの。一年はエンジでしょ」
「女子校の伝統を大切にするべきでは?」

元々、女子は横並びの意識が強い。加えて仲間が圧倒的に多い状況では遠慮もなくなる。
こうなると、男子は言われるがままだった。

「女子が着てるのに男子だから着なくていいというのは違うと思います!」
「私達に合わせようとしないのが気に入らない!」
「◯◯君もブルマ履きなよ!」
「男子もブルマ!!」

女子達の強い言葉が男子に浴びせられる。
やがて女子達の大合唱になる。

「エンジブルマ履ーけ!エンジブルマ履ーけ!!」

一丸となった女子の声に圧倒される男子。
既に涙目になっている彼は、先生の方へ行ってさっき提出したプリントを受けとる。
購入希望を訂正するためである。
クラスの女子全員が見つめる中、赤ペンで彼は書かされる。

「一年四組の◯◯✕✕は男子生徒ですが、本校の伝統に則り女子用ユニフォームを着用したいです。ですので一年女子用のスクールブルマ(エンジ色)の購入を希望いたします」と。

数日後、朝のホームルームの時間に[スクールブルマー(エンジ)]と刻印された半透明のビニール袋がクラスに配られた。
中から、鮮やかなエンジ色と股口のゴムが見えた。

この後の学校生活を思う男子の心は暗い。