刑法第38条1項及び3項の「罪を犯す意思」は、専門家的認識を必要とせず、素人的認識

必要説が通説となっています。ですから窃盗の場合は「他人の物をとっちゃダメ」程度の認識

があれば、罪を犯す意思とみなすわけです。

国沢氏の場合、当然窃盗についての素人的認識(他者の電気を使っちゃダメ)を持っていな

がら、コンセントにプラグを挿すという行為の法的価値評価を下す際に(サービスだと)錯誤

して行為に及んだわけです。これは法律の錯誤ですので、違法性の意識の可能性がない

場合にのみ故意を阻却します。以前にも書きましたが、違法性の意識の可能性がない(喫

茶店での電源サービスが当たり前になっているなど)の状況とは到底思えませんので、故意

は阻却されない事になるのです。