「人は人を殺すべきではない」については多分にユダヤ・キリスト教の教義が込めれられていて
あるいは釈迦の教えがあって、そういう教義に従う者にとっては重要な基準になる。教義に背いた
ことを行政が強制するばあい、内心の自由や良心の自由の侵害になるので、こういう自由を重視
する社会においては無視できない、ということになる。

もちろん、東洋だろうが西欧だろうが、このような教義に従うことを宣誓した者ばかりではなく、また
伝統的にも、「正しい考えに従って正しいやり方で行うかぎり」人殺しは正しいことでありつづけた
歴史があるので、「人は人を殺すべきではない」という命題は恒真命題でも何でもない。