幼い頃、俺は友だちと一緒に山の向こう側を目指していた
そこには新しい観光村が建設中で、ひと目それを見たかったからだ

しかし実際にそこに行ってみると工事中どころか辺りには何も見当たらない
只一つ強烈に記憶に残っているのが、エメラルドブルーに輝く水を蓄えた大きく美しい池
あまりの美しさに驚いて、友達と二人それが見れただけでも大喜びだった

大人になってまたその池が見たいと思いその場所に行った
そこには例の観光村は立派に出来ていたが、その美しい池は影も形も無くなっていた

あの池は幻だったのか
あんなに大きく綺麗な池をわざわざ埋め立てるはずもなく
あの池は本当にこの世に存在していたものだったのか
その真実を知る者は今はもう誰もいない